第32話

「守は、お友達とスキンシップないんだ」


「は?犬かよ」


「私にも。セックス以外に手を繋いだりないよね?」


「…」


守は黙り込んでしまった。お食事も進まない。


「手を繋ぐの嫌い?」


「ううん…違う…。ただ、…自分からはできなくて」


「そう。友達にも?」


「そう…今までずっと。羨ましいけど、俺にはできなくて。変だよね」


守の目から涙が。


「誰かと友達になりたいけど、過度に接すると…嫌われちゃうから…」


「嫌わないよ?私は守が好きだしね?それに、お手伝いしに来てくれた人たちもきっとそう。守のためにって思ってる」


「そうかな…」


「だから、さっき太郎にやってたみたいにベタベタ抱きついたり、すりすり顔をこすりつけたり、あと、髪の毛わしゃーっとしてもオッケーだよ?」


「…見てんじゃねぇよ!」


あら、顔赤い。


「ご飯食べ終わったら太郎と私と守で遊ぼ?」


「…うん」


「ご飯食べよ」

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