犬!

第29話

ブリーダーの知り合いから、犬を譲り受けた。というのも、以前予防接種の手伝いをしていたときの患者さんなので、俺をかなり気に入っている。


「足助先生に飼ってもらえるなんて、この子は幸せです」


「いや…お金は支払いますよ?」


「いいえ!先生とこの子は相性最高なんです。これはお見合いと同じなんです」


わけわからん。


「ところで、足助先生は一軒家にお住まいに?」


「そうです」


「…失礼ですが、聞いた話だと一人暮らしだと」


どこの誰だよそんなこと話したやつ。


「最近結婚して…」


「なるほどそうなんですね!おめでとうございます!素晴らしい!」


うざ。


そのまま別荘へ。いや、もう今日から住めるから俺の家になるのか。荷物は零くんに任せてる。俺が仕事中に鍵を渡して、部屋の中の荷物を運んでもらった。もちろん、配置も任せてる。


「足助先生!お疲れ様です」


夕方なのに、零くん元気…


「お疲れ様。もう終わりそう?」


「とっくに終わってます。ただ、足助先生を待たせて頂きました」


「あ、そうだ。零くん手伝って」


車の後ろに回ってドアを開く。ゲージを見るなりびっくりする零くん。


「犬を飼うんですか?」


「そのためのドッグラン」


「え?では部屋では飼わないんですか?」


「あるでしょ?一部屋なにも置いてないとこ」


「はぁ…え!犬の部屋ですか!?すごい…」


「いいから、運んでくれる?」


「動物のゲージを運ぶのは初めてです!」


軽く持ち上げてさっさと運んでいく。なんの筋肉なんだあれ。着物動きにくくない?

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