第26話

足助の家、めっちゃいいところかよ。そんで、荷物は段ボールに既にまとめてある。


「足助、今日運んでもいいけど」


「ううん。ベット移動したいから、トラックいる」


「あー、そうか。あそこの古くて捨てたもんな」


「みどり、座ってていいよ。細川くんも座ってて」


「あ、うん」


うわ、足助が優しいとか。うわ。お茶出してくれんのかよ〜へー?そういや、今まで自分の家には俺を呼ばなかった。


「あー、パンフレットお持ちしました」


「ありがとうございます」


対面して嫁と座るとか気まず。すぐ足助がお茶準備してやってきたので、特にしゃべらなくてすんだ。お茶を頂いたあと、本題へ。


「…下着の会社なんかしてんの?」


足助にもパンフレットを渡したのだが…その怪しい目はなんだ。2人ともじっくり眺めてる。夫婦並んで座ってるのはなんか、ちょっと変な感じだ。


「そうですけど?」


「用途不明なのはなに?」


ベビードールの話だ。わざわざ見せてくるとは、こんなうざい客いないし。


「それは用途あります。ただかわいいというだけの、女子は楽しむらしい」


「ふーん」


興味なさすぎ。


「マタニティもされてるんですね。知りませんでした」


嫁がようやく気がついた。ま、後ろの方のページだし。


「それは私が推進しました。産婦人科医をやっていたとき、気になったので」


「なんだか、普通にかわいいですね。イメージしてたのはベージュのものだけかなって」


「そういう要望が多くて」


「へぇ…すごいですね。そういう仕事の経験を活かしてるんですね」


「…一応、まだ就任して間もないのですが」


「細川くん、これ試着とかある?」


「ある。持ってきた」


「…えー、下着泥棒じゃん」


「ふざけんな。そんなわけねーだろ」

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