第25話

「零くん、足助のことどんくらい知ってる?」


「いや、そこまでは…」


窓拭きしつつ零くんは答える。


「彼女はけっこいいたはずなんだけど、なかなかうまくいってなくてな。それが今回のあの嫁。今までのやつと全然違うんだよな」


「たしかに、そんなに美人ではない…」


「は?なにそれ?そんな基準あんの?」


「いえ…」


「足助はたぶん、自分のこと話したんだろうな…やたら仲いい」


「そうですか?」


「そうだろ」


今までの彼女の格好とかそういうの、気にしたことあった?ないだろ。上辺の関係。それが、あの人には自分が病気だったと話したのか?なにがそうさせたんだろう。


「だいぶ綺麗になりましたね」


「よし、掃除道具まとめてくれ。持って帰る」


「はい」


零くんに任せて、急いで足助の車へ。窓を叩くとすぐに開いた。


「調子はどうですか?」


「大丈夫です、ありがとうございます」


まだ寝てるけど、顔色は良くなってる。足助も付き添っているが、運転席にいる。が、こちらを振り向く。


「細川くん。これから家に帰って、うちのもの持ち出してもらおうかと思ったけど、やっぱりやめた。それより、なんか…締め付けのないブラジャーとか知らないの?」


…足助からこんなこと聞かれるなんて。


「あるよ。うちの会社のやつ」


「え?そうなの?」


「足助の家の場所どこ?連絡後でくれ。零くん連れ帰ったあと、家行って説明する」


「うん、わかった。先帰る」

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