第12話

「待て待て!誰か泊めてるのか?いや、これ…スカート!?守なんだこれはー!」


慌ててリビングに行くと、キッチンからいい香り。そして、誰か…女の人が立ってる?え?あれ?


「守!お前、彼女いたのか?」


「…あれ、多喜たきちゃんに聞かなかった?」


作業中に話しかけたが、怒られなかった。セーフ。


「な…にを?」


「結婚した」


「ま、待て…守お前さぁ…」


守の横に勝手に座る。


「なに?」


嫌そうにされたけど、いい。


「妊娠させた?」


「…させたけど」


「…俺の患者なんだけども」


「は、はぁ!?うそ、え?なんで?心臓外科でしょ?」


どうやら知らなかったようだ。彼女の方は、料理してて俺に気がついてない。


「異動になってな」


「…げ、まじかよ…」


守は嫌そうにした。そうだろうよ、俺が触診などしておりますよ。えぇ。


「守、大丈夫。診察は俺がほとんど1人でやってるからな?看護師さんはちょっとした手伝いくらいだ」


「は?なんなの?どういう意味?」


守の耳元に手を当てて、こっそり言う。


「キスマークのことだよ」


「…もー!やめて」


守は俺を押し除ける。いやぁ、守がやったなんて考えもしなかった。足助って名字だけど、知り合い他に考えられないし誰なんだろうとは思ってたけど。守の嫁かよー、しかもそんな盛ってるなんて。嬉しい限りである。


「子供3人も一度に増えるの、楽しみだな。おめでとう」


「…ありがとう」


守は前より素直になってる。あの、嫁のおかげか。けっこう生真面目そうで、素っ気なさそうだけど、守は甘えてるようだ。ほほう!


「守の嫁さんに挨拶させてくれ」


「勝手にすれば!」


守、怒ってるしー。かわいいなぁ。

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