第11話

「ねぇねえー優くん!守さんは奥さんいたんだね?知らなかった」


部屋に戻るなり報告する。


「は?」


作業しながら適当に答える優くん。ひどいよー


「何言ってんだえんよーちゃん。守はなぁ、俺と住む予定だぞ?」


優くんのお父さんはなぜか偉そうに腰に手を当てながら答える。作業はやめてる。


「え?そうなんですか?」


「さっき優と考えたんだ。俺らと家を引っ越そうと言い出すに違いないってな?」


「…それはないと思うけど」


「はぁ?えんよーちゃんは俺らと住みたいだろ?」


「え?俺?」


「親父仕事しろ」


優くんのお父さんはなかなか無理やりな人だ。守さんは奥さんと新しい家に引っ越したいんじゃないの?それは言わないでおいた。とりあえず仕事だ〜


「終わったぞ!おし、えんよー!次の仕事を聞いてこい」


「え、俺?」


なんでか優くんのお父さんは俺を指名した。


「俺が聞くと怒られんだ。守は繊細でなぁ…」


「わかったー!行ってきます」


「艶耀お前、言いなりかよ」


優くんは最後まで仕事をしていた。まじめだ。リビングに行くと、守さんはまだ作業してる。


「終わりました!」


「ありがとう。じゃ、次は隣の部屋。客用の部屋なんだけど。だいたいまとめてあるから」


守さんは、全然怒らない。普通に話してくれる。


「わかりました!…なんか、いい匂い!」


「今ご飯作ってるので。終わる頃にはできますよ?」


キッチンの奥さんが話しかけてくれた。スーツのまま作ってる!エプロンして、妻っぽい〜


「ありがとうございます!」


すげぇー至れり尽くせり〜

嬉しいからうきうきで戻る。


「次隣の部屋だってー」


「よしきた!移動だ!」


優くんのお父さんはやる気あるなぁ。そんですぐ隣の部屋に移動。


「…なるほど。ここは、俺も泊まったことある部屋だ」


「親父が?追いやられてたってこと?」


「なんだよそれは!」


部屋には、荷物がたくさん。キャリーバックがいっぱいある。スーツとかは、シングルハンガーにかけてあるけど。

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