第5話

「細川くん…久しぶり」


なんだかちょっと緊張する。どんな質問をされるのやら。普通に電話出るなよ、今社長のくせに。


「お?足助…お前、大丈夫なのか?」


「なにがだよ!」


「だって、結婚なんて…無理だろ」


「無理じゃねーし。何様?」


「お高くまとまってる以原の娘だって聞いた。あのクソババアの娘とか、大丈夫なのかよ」


クソって…その言い方はさすがに俺はしてないよ?


「…知ってんの?母親」


「当たり前だし。わがままで傲慢だ。娘も相当変わってるだろ?で、お前なんでそんなのにしたんだ」


「そんなの言うな」


「え?お見合いじゃねーの?」


「ねーわ!」


「は?でも、杏の話だと獣医学部の教授だって聞いたぞ?職場違うだろ?」


「あーもー、めんどくせー!なんでそんな聞きたがるんだよ!」


「心配だからだよ。お前が。院長とかに勧められてとかじゃねーのかと思って」


「ねーわ!そんなクソめんどくさい話は全部断ってるし!」


今まで何度かそういうので院長室に呼ばれたこともあった。院内で働く先生の娘とかね。ありえないから全てスルーした。


「じゃあなんでだ」


「…逆ナンされた」


「は、それで?それよくあるだろ」


「…わ、わかんないけど付き合ったし結婚したくなった!」


「は?説明になってねーよ」


「説明できない」


「…つーことは、お前も惚れたってこと?」


「…わかんないし」

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