第16話 ウンゲロ



「て、てんめえッ!」


「ウンゲロさん?!」


「ベベ! お前の知り合いか?!」


「おお! そうじゃ! 少年よ! お主昨日これを落としたぞい」と、ベベルゥにIDカードを渡す。ベベルゥは礼を言ってそれを受け取る。


「闘うグッチャー! 愉快なグッチャー! 我こそグッチャーの中のグッチャー! グッチャグチャのウンゲロ様のナンパを、若造! 貴様に見せてやるうッ!」の、五秒後。


「ガハハハハッ! 何が貴様に見せてやるうッ、だぜッ! ウンゲロだか、ウガンダだか知らねえが、そのダサい服を何とかしてから女に声掛けな。オ・ヂ・タ・ン!」


「ムッキーッ!」


正に一色触発! 二人の瞳の間に視線バチバチイッ! てな感じ。

その二人の間に割って入るように、ミニスカ、へそ出しタンクトップ、ボインボイーンのスーパーエルフの女性がモンドとウンゲロの間を通り過ぎて行くではないか。ホケーッと、お口アングリのウン・モン。だけではなく、通行人の男共を全て腰砕けにさせながら、

 絶世のスーパーエルフが、大きめのグラサンをかけ、キャットウォークで悩殺していく。 すれ違った時の、その女性の髪の残り香に、鼻孔を擽られたウン・モンは、両手ダラーン、鼻の下ビローンと伸ばしてそのスーパーエルフの後をつけていく。


「おい! 若いの! ではあのスーパーエルフを口説き落とせるか勝負ぢゃ!」


「望むところだ!」


「モンドさん! ウンゲロさん! ち、ちょっと待って下さいよ! ったく仕様が無いなあ。リルルさん、シルルさん! ホラッ! パパウも行くぞ!」


ベベルゥは、男に抱きついているリル・シルとお皿に齧り付いているパパウを引っ剥がす。

サン・マルコ通りを抜け、リスモン中央駅を横目に眺めて、ルポンヌフ橋を渡ってアンドルモアの丘へ、何㎞の道を追いかけ回すのだから、ウン・モンも大したものだ。

その道中、お尻を振り振りのスーパーエルフは辺り構わずウィンクしまくり、その魅力に参ってしまった男共が、鼻の下ビロ~ンとさせて、その後をつけてくる。

そのアンドルモアの丘に、まるで城の如く建っているのが聖マリアージュ女学院である。

 王侯貴族や富裕な商人の箱入り娘達が花嫁修業をする為の女子高等学校である。

その聖マリアージュ女学院の中に入って行くスーパーエルフを、門の所で眺めているのは、モンドとウンゲロである。


「聖マリアージュ女学院じゃねえか」


「の、ようじゃな。あのエルフ、この学院の先生か?」


「いいねえ! スーパーエルフの女教師! 乙女の園! うら若き乙女達よ!」


「えーのー! 若いおなごが飛んだり跳ねたり! 楽園ぢゃ! これぞ天国ぢゃわいッ!」


「おぉ~っ!」と盛り上がる男衆!


 校庭では、夕方の部活が行われ、筋肉ムキムキ、ボンテージファッションのマッスル美女軍団らが走っていたり、ラクロス等のスポーツに、女子高生達が汗を流している。

 いつの間にか意気投合したウン・モンが、頷いて門を潜ろうとしたした時! ドーン!と、花火が突然上がったところに、遅れて、子犬を抱いたベベルゥ達がやって来た。


「モンドさん! こんな所で何してるんですか?」


「ベベ! 何してたんだよ! 遅かったじゃねえかッ!」ってモンド君、アンタ勝手に女の尻追い回していてそれはないだろうが。


「それより、そのばばっちぃ犬っころ、連れてきちまったのか」


「すいません。可哀想だったもので。それより、あの花火は何です?」


「ああ、蒼龍のヴァルアのゲリラファッションショーの合図さ」



第16話 了

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る