第8話 バカは治らないようです。

side:ジャクリーン




逆賊スコット・バルフェンバーグを捕らえる為


私は兵を率いてバルフェンバーグ王国に帰って来た!



スコットには国際裁判所から速やかに出頭するようにという旨の書簡を持った兵が向かっている。


グロンクヴィストをはじめ周辺17ヵ国に対して


正当な理由無く戦争を起こそうとした疑いがある為、出頭して事情を説明せよって内容なんだけど


スコットと第1王妃リンダの性格を考えれば絶対に出頭はしないだろう、むしろ書簡を偽物と思い込んで無視する可能性すらある



書簡を持った兵士がスコットの所に行って既に1時間ほどが経過したけど未だに動きは無い


私の隣に居る近衛隊隊長のスミスは少しだけ残念そうな表情をして首を縦に振る


時間切れだ



出来れば穏便に済ませたかったけれど仕方ない



「兵士諸君、逆賊スコット・バルフェンバーグを捕らえろ!突入!」


「「「「「うぉーー!!」」」」」




私の合図で兵達が一斉に動き出す


私も近衛兵に守られながらスコットの元へ向かうが予想通り抵抗は殆ど無い


本来王を守る為の近衛兵がほとんどこちら側に付いているのだから当然だ




「報告します!スコット・バルフェンバーグとリンダを捕らえました!」


「よくやったわ!案内してちょうだい」


「はっ!」




兵に案内されてやって来たのはスコットの私室、扉が開けられるとそこには


裸のまま縄を打たれたスコットとリンダの姿があった



はぁ


頭が痛い


部屋に置いてあるベッドの状況を見れば、兵が突入して来るまで2人が何をしていたかなんて直ぐに分かった


2人がここまでバカだったとは、よく今まで国が崩壊しなかったと不思議でならないわ



「ジャクリーン!俺にこんな事をしてただで済むと思うなよ!」



兵に囲まれた状況でよくそんな事を言えると感心するわね



「一方的な同盟破棄をした上に国際裁判所からの書簡を無視したあなたに私が出来る事は無いわ。


言いたい事があるなら裁判で好きなだけ言ってちょうだい」



「待て!書簡が偽物だと言ったのはリンダだ!俺はリンダに騙されたんだ!逆賊はリンダだ!」


「なっ?!ジャクリーン聞いて!デタラメよ!スコットが自分の罪を逃れる為に言ってるのよ!」



「ふざけんなよこのクソ女!お前がジャクリーンを追い出す為に同盟破棄をしようって言ったんだろうが!グロンクヴィストは絶対に戦争にはしないからとな!」


「それを私が言ったって証拠があんのか?そもそもお前が兵から全く慕われて無いと分かってたら王妃になんてならなかったわ、バァーカ!」


「バカはお前だバァーカ、バァーカ、バァーカ!」




あぁ~、頭が痛い(泣)


ここに居る兵達もスコットとリンダの醜いやり取りを見て、精神的ダメージが大きいみたい


これ以上大切な兵達にダメージを負わせる訳にはいかないわね



「2人を連れていきなさい!」


「「「「「はっ!」」」」」




「待て!、、いや待ってくれジャクリーン、話せば分かる!だから助けてくれぇーー(泣)」


「そっ、そうよジャクリーン、私達何か誤解があったかもしれないけど話せばきっと分かり合えるわよ!ねぇお願い、謝罪しろと言うなら謝るからぁーーー(泣)」




兵達に引きずられ泣きながら部屋から連れていかれる2人を見て私は思う


こんな時は嘘でも本当に涙を流すくらいはするものよ


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