第2話 夫以外はバカでは無かったようです。

side:ジャクリーン




さてと


夫が、、、


既に元夫になるのでしょうか?


スコットがバカなお陰でこの国を出て行くのに数日の猶予が出来ました


私の荷物は着替えと細々した物が少しある程度なので、鞄1つに詰め込んで今すぐにでも出て行けるのですが


その前に色々とやるべき事があります。



『コンコン』



あら?


誰か来たようね



「はーい」


『ガチャ』


「ジャクリーン様、失礼します。」



部屋に入って来たのは私の身の回りの世話をしてくれているメイドのクララ


思い返せばこの3ヶ月間、クララとはほぼ毎日一緒に過ごしていましたからお別れとなると寂しくなります。





「クララ何か用かしら?」


「はい、ジャクリーン様がこの国を出て行かれると聞きましたが、それは本当の事なのでしょうか?」


「誰から聞いたのかは知らないけれど本当よ」



やけに話が広まるのが早いわね


まぁこんなつまらない話を好き好んで他人に話すのは考えるまでもなく、リンダしか居ないけれど



「ジャクリーン様、私のような者が言って良い事ではありませんが、どうかこの国に留まって頂けませんでしょうか」


「残念だけど無理ね、これは陛下がお決めになられた事だから私の意思が入る余地は無いのよ」



「それではこの国は滅亡してしまいます!」


「お飾りでしかない私が居なくなるだけで国が滅亡するとは思えないけれど、どうしてそう思うのか教えてくれる?」



「はい、陛下とジャクリーン様が離婚なさるとグロンクヴィスト王国との同盟は破棄されます。そうなれば戦争になるかもしれないと考えるのは幼子でも分かる簡単な事です。」



そうなのよ!


幼子でも分かる簡単な事が分からないほどにスコットはバカだったのかしら?



『コンコン、ガチャ』


「ジャクリーン様、失礼します!緊急の面会要請が来ています、如何しますか?」



あらあら


慌てた様子で部屋にやって来たのはメイド長のフレア


それにしても緊急の面会要請とは何事かしら?



「フレア、誰が来られているの?」


「申しあげます。


内務大臣、ハベル様


外務大臣、ロレイン様


財務大臣、ルピー様


近衛隊長、スミス様


第1、第4、第5、第8師団長及び料理長


以上9名です。」




まさか現在王城に詰めている重臣のほとんどが揃って来るなんて


これは余程の事態じゃない!



「分かりました、お会いしますから皆様をお通ししてちょうだい」


「かしこまりました。」



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