第151話 突入
2023/03/01 ご指摘いただいた誤字を修正しました。ありがとうございました
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魔王様がサンプロミトの隣町を攻め落としたという報せを鳥郵便で受け取った私たちはすぐさまあの通路を通り、再び山の南側へとやってきた。
今回一緒に来るメンバーはエルドレッド様を筆頭に道案内役のマクシミリアンさんとショーズィさん、さらに私を守るためということでホワイトホルンからはヘクターさんとニール兄さんが同行してくれている。
さらにニコラさんまでもが私と一緒に来てくれていた。ニコラさんは絶対に役に立つから連れて行けと言って半ば無理やりついてきたわけだが、単に魔道具に興味があるだけな気がしてならない。
それはさておき、私たちは前回行かなかった階段に足を踏み入れた。
そこはやはり不思議な空間で、階段を降りていたかと思えばいつの間にか平らな場所を歩いている。
そうしてしばらく歩いていると、私たちは大きな扉の前に到着した。
「姫様、ここが秘密の通路の出入り口です」
「ということは、これから出会う相手はすべて敵となります。ショーズィさん、教皇のいる場所は分かりますか?」
「はい。ただここがどこかが……」
「途中まではワシが案内しましょう。ニール殿、ヘクター殿、姫様をお願いします」
「もちろんです。マクシミリアン師匠」
「ホリーちゃんはホワイトホルンの大切な住民ですからね。必ず守りますよ」
後ろのほうからそんな会話が聞こえてくる。
「ではホリーさん、扉を」
「はい」
私が扉に手を触れると、私たちは気付けば明るい廊下のような場所に立っていた。
「姫様、ここは三階です。ショーズィ殿の知っている場所に行くにはこちらの――」
「何者だ!」
「む! 魔族!? 大変だ! 魔族が大聖堂に侵入しているぞ!」
マクシミリアンさんの話を聞く前に見回りの聖騎士に見つかってしまった。しかも廊下のどちらからも聖騎士たちが私たちを取り押さえようと向かってくる。
「何が大聖堂じゃ! リリヤマール王家の城を好き勝手に改造しよってからに!」
「そんなことよりも見つかっちゃいましたよ? どうするんですか?」
「こうしますよ」
「俺はこっちをやります!」
エルドレッド様とショーズィさんが目にも止まらぬ速さでそれぞれ別の方向から来る聖騎士たちに向かっていき、あっという間に倒してしまった。
「何事だ!」
「侵入者だ! 魔族が入り込んでいるぞ!」
「であえであえー!」
次々と聖騎士が襲い掛かってくるがエルドレッド様とショーズィさんが次々と倒していく。
「姫様、こちらです。ショーズィ殿!」
「はい!」
マクシミリアンさんがエルドレッド様のほうへと向かい、ショーズィさんも向かってきた聖騎士たちを倒して私たちのほうへと戻ってきた。
「邪魔です!」
エルドレッド様は聖騎士たちを次々と倒し、道を切り開いていく。
そうして途中まではマクシミリアンさんの案内で、それからはショーズィさんの案内で教皇の執務室にやってきた。
「突入しますよ」
そう言うと、エルドレッド様は扉を蹴破った。
ドカンというものすごい音と共に扉が粉々に砕け散る。
「教皇! 覚悟!」
そう叫んで部屋の中に入るが、そこには誰もいなかった。
「あれ?」
「誰もいませんね」
エルドレッド様はそう言いつつも、慎重に気配を探っているようだ。
「もしかして気付かれちゃったんでしょうか?」
「派手に暴れたからなぁ」
私はエルドレッド様に聞いたつもりだったが、ニール兄さんが答えた。
「うん」
私もキョロキョロと部屋の中を見回すが、特になんの変哲もない執務室に見える。
するとニコラさんがてくてくと机のほうに歩いていき、さらに後ろにある本棚をじっと見つめる。
「隠し扉んなっとるな」
「え?」
ニコラさんが本棚に手をかざした。するとゴゴゴという鈍い音と共に本棚がひとりでに動き、その後ろからは大型の金庫が現れた。
「なんや。単なる隠し金庫か。……なんや。えらい簡単な仕組みやん。ホンマレベル低いなぁ」
ニコラさんは残念そうにそう言うと、あっという間に金庫の扉を開けた。
するとその中にはなんと、ショーズィさんに呪いをかけたあの赤い宝玉のネックレスが大量に置かれていた。
「あ!」
「なんや、悪事の証拠やん」
「ホリーさん、悪用できないように呪いを解いてしまいましょう。それに私たちの誰かが呪われでもしたら厄介です」
「はい」
私はエルドレッド様に促され、一つ一つ呪いを解いていく。すると、ショーズィさんが険しい目つきでネックレスを
「ショーズィさん? 大丈夫ですか?」
「え? あ、はい。俺はこれのせいでって思ってたら腹が立ってしまって……」
「あ……」
たしかにショーズィさんはこれのせいで望んでもいなかったことをさせられたのだ。恨みに思うのは仕方のないことだろう。
こうしてすべてのネックレスの呪いを解いたところで、その下に何枚かの紙が置かれているのを見つけた。
「あれ? これは?」
一番上の紙をめくった二枚目にはこう書かれていた――勇者召喚計画書と。
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