　３秒後、私が放った砲弾が命中した。重装型マーズラプターの頭部が吹き飛ばされ、赤い砂塵の中へと倒れていく。

　二機のマーズイーグルがアサルトライフルの射撃を加えてくるものの、駆逐戦車（マルズバーン）の機動についてこれないようで、弾は掠りもしない。

「へへーん。このマルズバーン様を舐めんじゃないよ」

　ビアンカの操縦で赤い大地を縦横無尽に走り回るマルズバーン。地上では不利と見たのか、二機のマーズイーグルは背のバーニアを吹かして飛び上がった。

「翠ちゃん、チャンスだ」

「わかってる」

　すかさず対空誘導弾４発を発射する。もちろん回避されることは計算済みでその隙を狙うんだ。一機はミサイルを回避しつつアサルトライフルで迎撃していた。背ががら空きになったその隙を逃さずに主砲を発射した。もう一機はミサイルを盾で受け止めてバランスを崩した。もちろん、空中で与太っている機体に主砲を撃つ。二機とも命中して地上に落下しバラバラになった。

「ちょろいね。半グレごときがモビルフォース乗って粋がってんじゃないよ。まったく」

　ビアンカ嬢はご立腹な様子。人型機動兵器をもっと上手に扱えという憤りが伝わってくる。確かに、私ごときが砲手を務めていてしっかり命中できたのだから、相手が下手くそなのは間違いない。

「ところで乗ってた人、大丈夫かな。死んじゃってたら困る」

「上手くコクピットを外してたらから大丈夫。翠ちゃんは天才だよ」

　何だかいいように乗せられた気がする。高価な人型機動兵器をぶっ壊したわけだから、始末書を何枚も書かされるはずだ。私としてはそっちの方が心配だった。　