第7話 プルトニウムを追え

「何処に向かってるの?」

「郊外のメタン採掘場」

「どうしてそこだと分かったの?」

「あれ? 翠ちゃん、僕が誰だか知ってるよね」

「オリンポス市長で天才遺失物捜索技能者で怪盗やってて年齢詐称して高校生もやってる魔法使い」

「概ね正解。僕は市長権限で全ての情報を精査できる。監視カメラの映像とか車両の位置情報とか公共機関の出入情報とか全部ね」

「それ、違法なのでは?」

「大丈夫。僕が警察のトップだし犯罪捜査以外には使ってない」

「じゃあ、レッドフォックスは? 自分の政敵を葬るための活動?」

「アレは趣味。話題に飢えてる市民に面白い情報を提供してるだけさ」

「何だか言いくるめられてる気がする」

「それはきっと気のせいだよ」

「そうかな? 他に悪い事、してないの?」

「僕は腹黒だけど、違法行為はしてないよ」

「腹黒なんだ」

「まあね。でなけりゃ市長なんてやってられない」

「そうかも」

「でしょ」

「ところでビアンカさんは?」

「操縦をAIに任せて居眠り。昨夜、ゲームしすぎたらしいね」

「大丈夫なの?」

「ミニスターがいるから問題ないよ」

「そうそう、あのミニスターって?」

「巨乳趣味のエロガキです」

「え?」

「でも、翠ちゃんには興味ないみたいだから安心していいよ」

「安心? 何だか敗北感が凄いんだけど……」

「気にした方が負けだよ」

「トリニティ様、エロガキより報告があります」

「あ、ミニスター君は拗ねちゃったかな?」

「他人の趣味趣向を暴露するなんて何を考えてるんですか? それはともかく、距離17500に人型機動兵器が出現。三機です。既に補足されています」


 紅葉と馬鹿話をしているうちに見つかったという事か。

 素人の私が戦闘に巻き込まれたのなら悲しすぎる。

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