プルトニウム捜索編

第6話 駆逐戦車マルズバーン

 ガタガタと揺れている。そして、シュイーンというタービン音と、キャラキャラと軋む金属音が聞こえる。


 私、どうしたんだっけ。こんなに騒音が酷い乗り物って何? どうしてこんな車両に乗ってるんだ。


 しばし、本日の行動を振り返ってみる。私と紅葉もみじは遺失物捜査チーム・レッドグリーン。私たちは盗難されたプルトニウムを探して工場跡地へと侵入した。そこでレッドフォックスの一員であるコスプレ少女と出会って……。


 思い出した。紅葉もレッドフォックスの一員であり、その正体は火星連邦の首都オリンポス市長のトリニティだった。

 

 AIのミニスターが収集した情報から首謀者は副市長だと判明した。その目的はトリニティをテロリストに仕立てて失脚させる事。そしてその後、私はトリニティにプロポーズされた……ような気がする。それで舞い上がって……その後の事は覚えてないのだが、しかし、アレは本当にプロポーズだったのだろうか。


 冷静に振り返ってみると……怪しい。


 私は目を開いた。

 何とヘルメットを被せられており、顔面のシールドはARディスプレイだった。正面は車外の映像が投影されており、視線を下げると車内の機器が見えた。


みどりちゃん目覚めたね。現在、市外の目的地に急行しています」


 紅葉もみじの声だ。それはそうなんだろうが、この車両は何なんだ?


「ああ、戸惑ってますね。ミニスター。翠ちゃんに説明を」

「了解」


 突然、視界の右側にあの白人の少年が現れて説明を始めた。


「こんにちは、翠さま。こちらの車両は駆逐戦車マルズバーンYBSK-02、火星連邦軍最強の戦闘車両です。翠さまはこちらの戦車に砲手として搭乗されております」


 私……何で戦車に乗ってんの。砲手って何よ。そんでもって、プルトニウム盗んだ奴らの所に、戦車で殴り込みをかけるの?


 バラ色のブライダルドリームから目覚めた私は、何故か戦場へ向かう新兵の気分になっていた。


 これって超ブルーだよな。多分、全人類共通の感覚だ。


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