第2話 遺失物捜査チーム〝レッドグリーン〟
そんな事はどうでもいい!
恥ずかしい話なのだが、まだまだ適齢期であり妙齢と言っても差し支えなく容姿もそこそこイケてる私の姓が、何故、
この、妙ちくりんな苗字のせいで、私は自己紹介が死ぬほど苦手だ。おかげで合コンは必ず断ったし、お見合いもまた然り。つい先刻、おせっかいな上司が持ってきたお見合い話を丁重にお断りしたばかりだ。
「
この、年長者にタメ口をきくのは私の助手、
「お前にゃ関係ない。仕事だ仕事」
「はーい!」
右手を高く上げ笑顔で返事をする紅葉だ。私が酷く不機嫌でもこいつは何も感じないらしい。いつも笑顔でノリノリで、ネガティブな雰囲気とは縁がない。
彼はまだ高校生。しかし、天才ゆえに犯罪捜査には欠かせない戦力だ。事実、紅葉は幾つもの事件に於いて重大な役割を果たした。彼は探し物が得意で迷い猫を何度も見つけたし、数億円の金塊も探し当てた。つい先日も誘拐された少女の監禁場所を特定した。そんな彼の監督役を任されているのが私という訳だ。
そんなこんなで私たちのコンビは、「
今回の仕事は、この能天気なイケメンを従えてとある盗品を確保する事である。できれば窃盗犯の身柄も拘束したい。そいつらは怪盗レッドフォックスと呼ばれている情報専門の窃盗団だ。レッドフォックスには謎が多く、火星連邦警察ですら人物像や組織や構成員を把握できていない。
私たちはとあるセメント工場跡地へと侵入した。ここは建築資材を製造していたのだが、現在は他所へと移転している。壁に穴が開いた建物とその脇に積まれている赤い砂利が、いかにも廃墟という印象を与える。時折、強い風に巻かれた赤い砂塵が舞っていた。
「レッドフォックスってどんな人なんすかね? もし、渋いオッサンだったらどうします?」
「対象が親父かガキかは関係ない」
「はーい!」
再び能天気な返事をする紅葉である。
何でこんなガキの面倒を見なくてはいけないのだ!
上司だからって何度も見合い話を持って来るし、脳天気なイケメンを押し付けてきたのもあのクソババアだ。
「さて、片っ端から調べるぞ」
「了解!」
私と紅葉はオフィス跡と思われる建物内に入って捜査を始めた。
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