第4話 それもやっぱりTバック
「本当に脱ぐんですか?」
「ああ、脱いでくれ。確認のために写真を撮るが公開はしないと約束する」
知子の質問に力強く頷く彩花だった。覚悟を決めたのか、知子と羽里が脱ぎ始めた。バニースーツを降ろしてからハイヒールを脱ぎ、そして黒ストを丁寧に脱いでいく。知子と羽里はおそろいの黒いTバックショーツを身に着けていた。その姿を椿がカシャカシャと写真に収めている。
前側に小さめの布地。腰回りはひも状で細く、そのまま尻の谷間へと吸い込まれている。いわゆる普通のTバックである。
「もういいぞ」
彩花の言葉に頷き、知子と羽里は再びバニースーツを身にまとう。しかし、星子はもじもじしながら脱ごうとはしない。
「星子はどうした? パンツまで脱がしたりしないからさっさと見せろ」
星子は頬を真っ赤に染め、そして泣きそうな表情でしゃがんでしまった。彩花の目くばせで知子と波里が星子の両腕をがっしりと掴み、星子を立たせた。そして彩花は再び星子のバニースーツを膝まで一気に下げた。
星子の下半身を見つめる四名の女子生徒。その全てがその場で固まっていた。椿は一眼レフを構えたままシャッターを押せずに硬直している。
星子ももちろん黒ストだったのだが、その下の絶対領域は白い紙に包まれていた。それは丁寧に折りたたまれ、バニースーツからはみ出さないよう念入りに配置されていた。
「そ……それは……ペーパータオルなのか?」
「は……い……」
知子と波里は星子の腕を離してしゃがみ込み、星子の紙の力作を凝視した。
「う……上手くまとめてるな」
「じょ……上手だね。星子ちゃん。でもどうして?」
波里の問いに、俯きながら星子が答えた。
「家に忘れちゃったんだ。Tバック。だから、トイレで一生懸命作ったんだよ。ペーパータオルで」
いかにも星子らしいミスに知子と羽里はうんうんと頷いていた。その二人の間に彩花が割り込み、そして星子の股間をじい―っと見つめる。
「会長さん。見つめられると恥ずかしいです」
「スマンな。本当によくできているが、これはペーパータオルを畳んで重ねただけ?」
「はい、そうです」
「それじゃあトイレが困るだろ?」
「はい」
その通りだとその場の全員が深く頷いた。
「今から代用品を用意する。椿、頼めるか?」
「任せて」
椿は首から下げていたニコンの一眼をデスクの上に置き、戸棚の中を漁る。そして目当てのモノを見つけた。
「ちゃんとある……新品ね。これにしましょう」
椿の取り出したものに目をつけた波里が質問した。
「それは……パンツですか? 生徒会室に何でそんなものがあるんですか?」
「そうね。これ、真っ白でお色気要素はないけどね。女性はさ、生理とかで下着を汚す事があるじゃない。だから、生徒会でも生理用品と下着を常備してるの。これ、フリーサイズだから星子ちゃんにも合うと思う」
木綿の女性用ショーツを広げて皆に見せる椿だった。
彼女は早速、戸棚から裁縫箱を取り出した。
「えーっと。前の部分は幅をせまくして、腰の部分はギリギリまで上げて、後ろはほとんどひも状にして」
椿はショーツを睨みながら完成時のイメージをしているようだ。そのショーツをデスクに置き、裁縫箱から大きな裁縫鋏を取り出してザクザクと布地を切り裂く。そして針に糸を通し、折り返した布地を縫い合わせていった。
椿の裁縫姿をその場の全員が見つめている。数分後、その即席Tバックは完成した。
「布地を外側に折り返しているのでちょっと見栄えは悪いけど、はき心地は良いと思いますよ。さあ、星子ちゃん。はいてみて」
椿は自作のTバックショーツを星子に差し出した。それを受け取った星子は椿に深く礼をした。そして星子はショーツを握りしめたまま固まっている。
「ええっと。ここで着替えるんですか? 皆さんガン見してますけど。恥ずかしいんですけど」
「そ……そうだな。その前に椿は自作のTバックを撮影しておけ。それを身に着けた星子の姿も忘れずに撮っておくように」
「わかったわ。そのペーパーパンツは?」
「不要だ。それは無かった事にする」
「はい。じゃあ星子ちゃん。そのTバックを広げてください」
再び一眼を構えた椿がシャッターを切り始めた。
「裏返して……そうそう、お尻の紐の部分がわかるように……上手よ」
Tバックショーツの撮影は一通り終わった。しかし、椿は一眼を構えたまま。彩花は星子に一歩近づく。
「ええっと。一人で着替えられますから」
「心配するな。私が着替えさせてやる」
「私も手伝います」
挙手したのは波里だった。彩花と羽里に最接近されて身動きが取れない星子は二人のされるがまま。先ずは波里がハイヒールを片方ずつ脱がす。そして彩花が黒ストの腰の部分に指をかけ、するりと降ろした。同時にひらひらとショーツに見立てたペーパータオルがはらりと舞う。薄目の陰毛に包まれた星子の下半身が露わになるが、彩花はそれに構わず黒ストを片足ずつ脱がせていく。星子の手から手製のTバックショーツを奪った波里は、その出来栄えに舌を巻いた。
「椿姫先輩。これ、凄いです。ほぼ即興でこんなに良い出来なんて信じられません」
「ありがとう。さあ、私が作ったそのTバックを早くはかせてあげて」
「はーい」
波里はニヤニヤしながら星子の足元にTバックを広げる。
「さあ星子ちゃん。ここに足を通すのよ」
星子が恥ずかしそうにTバックに足を通す。そして自分で腰まで引き上げた。
「この、お尻に食い込む感覚は慣れないなあ」
「ブツブツ言わない。今度は黒ストよ」
「はーい」
黒スト、バニースーツ、ハイヒールを身に着けた星子は元のバニーガールに戻っていた。
「ふむ。下着ははみ出していない。椿、即席にしてはぴったりだったな」
「任せて。さあ、三人並んで。記念撮影をするわ」
三人並んで一枚。三人がそれぞれ抱き合って一枚。そして頬にキスしたり胸に触ったりのイチャイチャシーンの撮影を済ませ、三人は自分のクラス、バニーガール喫茶へと戻って行った。
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