EP11 感謝の言葉が尽き無いらしい

蜂蜜の様に甘く濃厚な声が耳の中に溢れかえる。


ミョルニル——

トールハンマー——

神の鎚ゴッドハンマー——


様々な呼び名で呼ばれる、メィロンの鎚。


本人は“爆ける想い”ソーダストリームなどと名付け“メロン・ソーダ”で売り出したいらしいがゴッドハンマーの呼称は多くの者に定着していた。


メィロンだけが扱えるイクスレイヤーの性質は破壊と創造。

【Xx】イクシスの破壊と創造を可能とする極小数の希少なイクスレイヤーだった。


人類史上最多4つの【Xx】イクシスを体内に持つガロンが恐れる唯一の存在は技巧師だけで、その中でも【Xx】イクシスの完全破壊を可能とする、メィロンに逆らう事など出来なかった。


「——っ! 俺も行かないと」


「そうだね。いってらっしゃい。気を付けてね」


「ありがとう」


本当にありがとうございます。

そんな感情を覚えるのは何度目か。


“私の奴隷”アイスレイブがクロワに与えた恩恵は些細なもので。首輪による身体能力の向上と、首輪にぶら下がる鎖が相手の魔力を吸収するという性質だけだった。

身体能力の向上に関しては初期段階では一般人よりも多少優れて身体が頑丈になるという性質だったが、鍛錬によって何とか卒業出来る程度には成長出来た。

鎖に至っては相手の一撃を受け止める事は出来るが、鎖の範囲外からの連撃や反応速度を超える一撃には対応が出来ない。


『来ると分かっていれば止められる』


学生時代にそんなセリフを血だらけになりながら何度呟いた事か。


「早く並べ——」

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