EP12 俺は悪くねぇらしい

太田 囁音オオタ ナノン


身長172センチ


魔素——


或いは魔元素などと呼ばれる、最古であり最先端のエネルギー派。それらを空中から取り入れ増幅させる性質を持つ【Xx】イクシスを体内に埋め込まれている。

外部からエネルギーを取り入れる性質の為に、常に体内の魔力量が不安定であり、精神に変調を来してしまっていた。


加えて任意で魔力量を増幅させる際には心身に痛みを伴った。


それがまた、ナノンの苛立ちを増幅させる。


不機嫌そうにナノンがクロワに顎で合図を送ると、少しだけ反省した様子でクロワは頭を下げた。


他の管理者達はその様子を訝しむ。


『お前達のせいだろ!』


そんな心の声が聞こえてきそうだ。


早朝から着の身着のまま整列させられる管理者含む総勢62名の心の声が重なり重圧となってクロワにのし掛かった。


そんな気がした。


「俺は悪くねぇし」


虫も発さない程の小さな声でナノンは呟いた。

その声を拾いガロンの眼光がナノンを捉える。

その事を察したクロワが姿勢を正すと、ガロンは満足したのか、口角を上げて檄を飛ばした。


「この先に居るのは醜い侵略者共だ。人類に逆らえばどうなるか——侵略者を蹂躙せよ!」


ガロンの声はよく通った。


多くの者がその声を聞いて熱狂し、声を上げる。壁の一部が開くと、興奮したままに人々は森の中へと入って行った。


目指すは異界門ゲート——

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