EP10 その一撃は甘く重たいらしい

「メロン……ちゃ……ん。悪かった。そんな事よりも! お前達何をしている! 早く準備を済ませて外に集合だ! 急げ! ホラ! 早く!」


傾斜3度程度。メィロンに対して頭を下げると、ガロンは急ぎその場の者達に指示を飛ばして外へと出て行った。


「それで、クロワはどうしてガロンと揉めてたのよ?」


「そんな事よりも、メロンはどうしてここに居るんだ?」


こんな所に居るはずは無かった。

ガロンもメィロンも。


国の最重要人物が、こんな小規模な作戦に参加する筈がない。

メィロンに至っては研究施設から外に出たなんていう話しは誰も聞いた事が無かった。


「そんなの、クロワと一緒に居たかったからだよ?」


ここまでの過程に至るまで、メイロンは常にニヒルな表情で淡々と鎚を降ってきたのだが、その顔が蕩ける。


「それよりも、また呼び捨て?」


「悪かったよ。メロンちゃんは施設の外に出て大丈夫なのか?」


「平気よ。誰が私を止められるの?」


ズンッ——


濡れた土の様に柔らかな声。

優しく甘く。

その声と同時に重たい鎚の一振りがクロワを襲うが、それを鎖で必死に受け止める。


「あなただけよ——」

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