EP7 最悪の展開らしい

「——オラッ! 起きやがれ!」


「最悪だ」


クロワが就寝した部屋には12名の管理者が居た。クロワ以外は今日から始まる攻略に向けて色々と話しをして昂る気持ちを抑えきれずに夜を過ごしていたのだが。クロワだけはすぐに眠りについていた。

十分な睡眠をとって快適な朝を迎える——筈だった。

そんな希望は叶う事は無く、二年先に卒業した囁音ナノンによって騒がしく起こされる事となった。


「誰が最悪だ!」


バズン—— と、掌底から電撃が真っ直ぐにクロワに向かって直進するが、それをクロワは首輪に着いた鎖で受け止める。


「まさか先輩の班とか、最悪です」


「てめぇ! また最悪とか言いやがったな!」


再び掌底に電撃を溜めていると、後ろからナノンの頭を抑える巨大な人影が現れた。


「やめろ。無駄に魔力を使うな」


「げっ——」


喧騒と共にクロワの部屋の11名はその姿を確認すると急ぎ身支度を整えて整列する。

クロワに至っては身支度もそこそこに最短でナノンの頭を掴む強大な体躯の男の前に跪く。


「おはようございます! ガロン先輩ももしかして同じ班なのでしょうか?」


「おう。俺がこの班の責任者だ」


「それはそれはとても光栄でございます」


「それとあれだ、お前とナノンの監視をする為に責任者を任命されたんだ」


お前のせいか!


そんな視線が22個。鋭い眼光から放たれる。

クロワに関してはガロンの姿を目視した時点でそんな予感がしていた。

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