EP6 三年が経過したらしい

三年後——


和歌月 墨桜ワカツキ クロワは管理者の養成機関を最下位の成績で卒業してFランクの管理者として初めての任務の地に降り立った。


大東京関東圏三大異界門ゲート


その一つ、妖艶の巣窟。


大昔。新宿御苑、赤坂御苑、代々木公園といった緑地が第三次変革期に侵食されたフィールドダンジョン。

つい最近まで。人類と妖精族は友好な条約で相互利益関係にあったのだが、日本国の皇族に妖精族が悪戯イタズラをした事が発端となり、最悪へと発展して此度の戦争へと至った。

戦争と言っても、人類側が一方的に攻め込むだけなのだが、大義名分は揃ったという事が最重要事項であった。他の種族への言い訳が必要なのだ。


そんな上官の説明を二時間。


老若男女、日本人であれば誰もが知っている情報を改めて一から懇切丁寧に淡々と話して聞かされ。


「はぁ……」


隣の人にも聞こえ無い溜息をついて聞き流し。その日は妖艶の巣窟との間に設置された壁のすぐ側、簡易設営された宿舎でクロワは眠りについた。

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