EP5 耐え難い苦痛を与えられるらしい

「うーん」


少女は男に視線を送る。


その哀れな姿に創造が舞い降りた。


少女の脳内では神々の住まう世界に光が満ち溢れる壮大な映像が展開されている。


「決めた」


そこからは凄まじい速度で鎚を振り回し、龍が如き流動体の【 Xx】イクシウムを連打する。


最後、地面に叩き付けてそれは完成した。


「私の奴隷——それがこの神器イクスレイヤーの名前。着けてみる?」


ジャラリと、少女は歪な形の私の奴隷アイスレイブを拾い上げた。

鎖は黒。その行き着く先には同色の輪っかが繋がり、その内側には無数の刃が並んでいる。

内側に向けて刃が並ぶ首輪など、首に巻き付けては死んでしまう。

その形状と名前から、男は瞬時に用途を理解して言葉を失う。


「震えてるの? 心配しなくても、痛みは一瞬。力は一生だから」


少女の視線は優しく。声色は甘く。

ガラス細工でも扱う様に丁寧にアイスレイブを優しく慎重に男の首に取り付ける。

十センチ程度の刃が首の皮膚を突き破り、血管を神経を無作為に傷つけて切り裂いて男に耐え難い苦痛を与えた。

身体を震わせて痛みに耐える男の口から噴き出す血を少女は小さな手で優しく拭い頭を撫でる。


「ガゴ。ガガガガボォ」


「クロワ、ゆっくり眠って——」


クロワの頭の中を記憶が駆け巡る。

走馬灯——そんな言葉が反響した。

生まれてから今日までのあるゆる情景が一周してその端に少女の髪の色が映し出される。


あの時の——


そんな記憶に浸りながらクロワの意識は消失した。

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