EP4 少女の囁きに騙されるらしい
人が入れる程のサイズの箱。その中には当然の様にその大きさに見合った様相の
これからその鉱物が身体に埋め込まれる事など周知の事実であるにも関わらず。男は少女の愛くるしい笑い声につられて笑みを浮かべている。
「大丈夫だよ、安心して。このままのサイズで扱うと思う? 思った? 失礼だなぁ、ちゃんと加工出来ますよ」
少女は男の耳元で優しく囁いた。
なんて可愛らしい声なんだ。
今から死ぬ程の苦痛を加えられる事を理解している当事者の感想だった。
身長143センチメート。
公開している少女のプロフィールだが、実際にはもう少し低い。その背丈を上回るサイズの鋼の鎚を部屋の隅から運んで——
一撃。
「さぁて。どうしたものか」
巨大な鋼鉄は少女の鎚の一撃を受け、流動体に姿を変えた。
それは地面から浮いた状態で光を放っている。
その姿はまるで言い伝えられる飛龍族か或いは水龍族の姿に酷似していた。
男は固唾を飲み、少女の一挙手一投足、声色の変化を見守る事しか出来ずに。
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