EP2 牢屋に入れられるらしい

牢屋と呼ぶにはあまりにも無機質な。赤黒い鋼の棒が並んでいる。表面には青白い光を放つ硝子の様な透明な鋼材が貼られている部屋。それこに投げ入れ報告を終える。


「69号収容完了!」


週三回床屋に行って髪をセットする体格の良い看守。クマガイは鼻息を荒くしてカメラに視線を送り敬礼した。それと同時に鋼の棒と鋼材が男とクマガイを隔てる。


「丁寧にやれよ。壊れたら怒られるのは俺もなんだよ」


「ああ! すまん!」


バチンッ!


悪びれる様子も無いクマガイの笑顔に腹を立てたオオタの拳が光を放ち、光を維持したままにクマガイの腹部を叩き光が弾ける。


「謝っただろ?」


コンクリート材程度であれば粉砕してしまうオオタの拳を受けても、クマガイは腹部を摩る程度で痛みを感じる様子は無い。


「謝れば良いってもんじゃあ無いっていつもいつもいつも言ってるんだよ!」


「だったら、どうすれば良いんだ?」


「道具は丁寧に扱えと言ってるだろうよ!」


「そうか! すまん!」


バヅン!


先程よりも激しい光がクマガイの腹部を通り過ぎるが、気にする様子も無く頭を下げる。


「クソッ! もういい!」


「分かった!」


そんな光景を意識を取り戻した男が薄目で眺め、一言声を漏らす。


「管理者か……」


「おぉお起きたか! 喜べ」


何をだよ。そんな言葉が男の脳裏に浮かぶが、それ以上何も言わずに去っていくクマガイを見て内心安堵した。


「死なねぇ程度に殺されろよ……ボケ」


オオタはクマガイの後をついて歩く。

一閃、振り向きもせずにオオタは男の額を狙って光を放つ。

光は鋼材に遮られ、男の額に届く事は無かったが、瞬い光に当てられて男は再び意識を失った。

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