EP1 どうやら俺は拉致されるらしい
「ここがお前さんの家か?」
「家に見えるんだったら、その濁った眼を治した方が良いぞ」
深夜零時二十四分——
人を警戒もしないネズミ達が優雅に食事を楽しむ路地裏で寝転がる男に対して、笑みを浮かべた初老の男が声を掛ける。
「生憎だが、その手の施術は間に合うておる」
「だったらこんな所に何の様だ? 最近話題の人攫いか?」
男は皮肉で言ったつもりだった。
「よく分かったのぉ」
初老の男が手を挙げると、壁伝いに四人の人物が降りて来て、慌てて立ち上がる男の意識を刈り取って担ぎ上げた。
「良い素材が見つかった」
声高い独特の笑い声が路地裏に響くが、その騒ぎを受けてもネズミ達は動じる事はなく食事を満喫している。
「Dr.パリグラ。他の奴らはどうしますか?」
「興味ない。儂が来て動じなかったのはネズミとそいつ位だ。実験にはネズミと相場が決まっておるからの」
「かしこまりました」
首の節が壊れた様に頭を揺らしながら、男は自分の不運を呪い意識を閉ざした。
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