第133話 金貨をどう使うかは俺の自由だ!(26)
ほんの些細な違いで大きいとか小さいとか、目くそ鼻くその争いである。
タカトの違和感はそんな些細なものではなかった。
そう、もっと、はっきりとした何かなんだ!
――いや、待てよ!
ようやく、タカトは何かを思い出したようである。
そんなタカトの鼻がツインテールの蘭華の頭を犬のように嗅ぎ始めたではないか。
クン! クン! クン!
そう、土手上で行ったコウスケとのバトルの後、タカトは土手の下に向かってホーリーウォーターを射出したはずなのだ。
ならばこの二人からホーリーウォーターのかぐわしい香りがしてくるはずなのである。
そう、どうやら無ければならないモノとは、このホーリーウォーターの匂いだったらしい。
――うーん、ポリアクリル酸ナトリウムのにおいを主成分に若干、汗のアンモニアの臭いはするが、あっちのアンモニア臭まではしないよな……
おい! あっちのアンモニア臭ってなんの臭いやねん!
というか、お前にはアンモニア臭の違いが分かるのかよ!
ふっ! 馬鹿め! たかがアンモニア臭といっても全然違うわ!
俺のホーリーウォーターはタンパクをふんだんに使っているために、若干アルカリの雑味が混じっているのだ!
乳臭い幼女の汗のアンモニア臭と一緒にしてもらっては困る!
これからは俺の事をホーリーウォーターマエストローと呼びたまえ!
まぁ、俺のホーリーウォーターはマイストロ―から出るんだけどなwww
って、ちなみに昨晩の俺は、ベッドの上にビン子が寝ていたから、その下にあるムフフな本など読みたくても読むことができていないからな!
おそらく、ちょっと道具作りで徹夜したから……蛋白でも出たんだろ……
息子よ! こんなに小さいのに……無理しやがって……(権蔵談ぽく言っているけど実はタカト談だからねwww)
どうやら川の土手上から発射したホーリーウォーターは、この幼女たちにかかっていなかったようである。
しかし、よくよく考えてみると土手の上から土手下までって結構距離が有るのな。
そんな距離を飛ぶだけの威力は、あの時の俺のマイストロ―にはありゃしなかった!
だって、出かける前にはトイレにちゃんと行くだろ! 当たり前の事じゃん!
ということで、なんとか犯罪者にならずにホッとしたタカト君であった。
だがその髪の匂いを嗅ぐ様子、傍目から見ても犯罪者そのもの!
ちょっと想像してみてよ!
赤の他人の幼女を目の前にして、その頭の匂いをいきなり嗅ぎ出すって……変質者以外にあり得ないじゃない!
速攻でお巡りさんに通報されて翌日の不審者情報に掲載されるのがオチである。
■発生日時:○月○日 午後6時40分ごろ
■発生場所:一般街のコンビニの中
■状況:男が幼女の頭髪の匂いを嗅いでいた
まさしく! 変質者!
当然、蘭華の反応は、「ちょっと、アンタ! なんで勝手に髪のにおいを嗅いでいるわけ! キモっ! キモ過ぎるわ!」である。
変質行為におびえる蘭華は咄嗟に飛びのくと蘭菊の陰に隠れて軽蔑の眼差しをタカトに向けるのだ。
「変質者や‼ 蘭菊! あれが変質者や! 絶対に近寄ったらアカンで! 近寄ったら赤ちゃんできるで! 赤ちゃん!」
一体どんな教育をされているんでしょうか……この子は……
「えっ? 蘭華ちゃん、それぐらいでは赤ちゃんできないよ……赤ちゃんはね、S○Xしたできるのよ」
真顔の蘭菊に対してキョトンとしている蘭華ちゃん。
「S○Xってなに? それっておいしいの?」
「うーん……おいしいかどうかは人によるんじゃない? お口で……る人も……」
「えーーーーーーい! ちょっと待てぇぇぇぇぇぇ!」
たまりかねたタカトが顔を真っ赤にして言葉を制止した。
「お前ら! 幼女だろうが! 幼女がS○Xって言うな! 年を考えろ! 年を!」
って、なんでお前が恥ずかしがっとんねんwww
だが、そんなタカトを蘭菊がキョトンと見つめる。
「お兄ちゃん……S○Xってなに? 蘭菊が言ってたのはね、SOX、靴下のことだよ。赤ちゃんはね、サンタさんが連れてきてくれるの。そしてね、朝起きるとクリスマスツリーの下に置いてたSOXの上に赤ちゃんがいるのwww」
「……お前、さっきお口でするとか言ってたよな……」
「だって、クリスマスケーキはお口で食べるでしょ! もしかして、お兄ちゃんは、お口で食べないの?」
「いや……わたくしも……お口で食べます……」
ニンマリと笑う蘭菊。
――絶対コイツ……確信犯だ……
もしかして、コイツの方が性悪なんじゃないのか……
こいつら両方メスガキじゃァァァァ!
そんなタカトの様子を察したのか、蘭菊は咄嗟に取り繕った。
それはまるでどこぞの高校生探偵が子供にされて警察の捜査に首を突っ込んだ時の言い訳のように……
「って……お母さんが読んでくれた絵本に書いてあったのwww」
――嘘くせぇ……
そんなタカトの足元に一枚の紙が落ちていた。
おそらく、先ほど蘭華が蘭菊の陰にでも隠れる際にでも落としたのだろう。
――乳くせぇ……メスガキどもは、いったい何を落としたんだ?
どうせ、店に来たイケメンたちの顔面採点表か何かだろう。
性悪のコイツらならやりかねん!
――どれどれ……俺は何点だ?
って、お前は自分の事をイケメンとでも思っているのかwww
悪いかよ!
タカトは興味津々にその紙を拾い上げた。
だが、その瞬間、タカトの心にドンという強い衝撃が走った。
な
・
ん
・
だ
・
と
!
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