夕餉の前のひと時
ーあの日の夕暮れー
まだ時刻は六時を過ぎたばかりだ。
「おう、今何時」
そう聞いてきたのは佐山だった。
「六時を過ぎたばかりだ」
「お前その独特な言い回し好きだよな」
「気に入っててな」
「何のやつなんだ」
「森鴎外」
「森鴎外、、、彼の文豪森林太郎、か。何か思い入れでもあんのか」
「昔から好きなんだよ」
「何となくか?」
「そう、なんとなく。彼の様に厳格な人間になりたい訳でもなければ憧れなわけでもないが、最期の言葉が馬鹿々々しいと言うのは、彼が送った人生らしいくて好きだ」
「馬鹿々々しい、か。何か文豪らしいのにらしくないってのもいいよな」
「あの本の作者がさ、森鴎外の論文書いててな」
「お前の執着心だな」
「その前から森鴎外自体は好きだったよ」
「そうなのか?」
「そう、縛られ続けた人生、みたいなの書いてる人居てさ。そこからずっと森鴎外は好き」
「縛られ、、、、いや、お前が言うと洒落にならんわ。闇深」
「よし、一発その顔に入れてやろうか手前」
「暴力反対だよ王子様」
「そうかそうか悠平くん人形は黙ろうなぁ?」
「王子様目が死んでる眼が」
「通常運転だよこの野郎」
「常に死んでたか」
「そう、常に、、、じゃねぇよ茄子」
「茄子は美味い」
「茄子は確かの美味いよな。俺も好きだぜ」
「「くぁwせdrftgyふじこlp」」
「それ日本語なのか、二人とも」
「健一先輩、どうされました」
「いや何、やっぱり冷徹とか言われる割にはネタ枠だよなぁと」
「貴方に言われたかないですよ」
「ちょ、おま」
「俺か?安心しろ、何時でも素に戻るとお前は天然でしかないって言われるからな。」
「駄目じゃないですか」
「同族だったのか、、、、」
「佐山、自分は天然記念物ではない」
「「無理があるだろ」」
「仲良いですね」
「悠平、此奴本当に天然だったんだな」
「だからそうですってば」
「いやぁ、職場で見てるとただ仕事できる系の無口君かと」
「嗚呼、見た目詐欺です」
「おい、失礼だぞ。幾ら冷徹無比、顔だけ人間とはいえ」
「自分で言うな」
「自分でいうのかい、ふは」
健一先輩が笑っている。はてさて何か面白いことは今あっただろうか。
「ほら、此奴何も理解してないんですよ」
「本当だ」
更に笑っている。先輩はどうしたのだろうか。壊れたかな。
「行彦の脳内多分今先輩が壊れたですからね」
「佐山、何でわかった。テレパシーか」
「ちょ、笑い死ぬから、悠平、やめて」
笑い転げている、、、
「死なないでくださいね?」
「、、、追い討ちが先輩を襲ってる、、、、」
暫くは笑い続けていたと思う。
「し、死ぬかと思った」
「そんなに面白いことあったんですか」
「君が取り敢えず面白いかな」
「自分ですか」
そんなことを言っていたら夕餉の時間になった様だ。
僕と普通な人生と 須臾 優 @elite8906
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