洋館とトランプ遊戯(2)[ジョーカーとポーカー]
ババ抜きで手札が配られた。ちなみに隣は右が渡辺先輩、左が辻川嬢だ。謎メンツ。
さて、自分の手札と言えば運良く枚数は少ない。だがしかし初っ端からジョーカーである。辻川嬢に引かせなければならない。
はてさて自分のポーカーフェイスは何処まで通じるのだろうか。
じゃんけんの結果自分が初めであった。渡辺先輩から一枚引く。
今の手札はジョーカーとスペードの1、6、クイーンにハートの5、それにクローバーの3、キングだ。渡辺先輩から自分が引いたのはクローバーの7だった。無念。
残念そうにしては手札を辻川嬢に向ける。ジョーカーは右から二番目にしてみた。
、、、、左から二番目を取られた。そっちだったか。
しかし動揺はしない。ポーカーフェイス大事である。
スペードの6が減った。次に6が来たら流石に悲しくはある。
そんなふうな始まりだったのだが、、、順調に進み残り三枚に。
しかし、悲しいお知らせだ。
ジョーカーは残ったままである。
何事だろうか。
もう五周はしたはずなのだが、、、、
見事にジョーカーを持っていかない辻川嬢である。
どうなっている。
可笑しいだろう。ジョーカー一度も回っていないのだが、この遊戯。
最早意味が分からない。
運なのだろうか。
そんなことあるか、、、?
ババ抜きだぞこれ。
緊張感どこに行ったかな。ババ抜きの。
思わず溜息をつきそうだった。
そろそろジョーカーは最後の一枚まで動いてくれないのではと思い始めているじぶんもいる。
一体どんな喜劇だというのだ。
そんなことを思いながらカードを辻川嬢にむける。
ベタに左がジョーカーだ。
取ってもらえたら嬉しいところだが。
、、、取ってくれた。
嬉しいかぎりだ。
ちょっと驚いた顔をすると普通は思うのだが一切変わらなかった。尊敬だ。
これで手札は二枚。一抜けしたいところだ。
残りは俺以外は平均六枚程度、行けるか。
隣の方からは佐山の叫び声が聞こえる。ポーカーフェイスもクソもない。何をしているんだか。
ポーカーは総当たり式で一対一だ。チップとして玩具のチップが初めに十枚渡される。最終的にコインが1番多かった人が勝ちだ。因みにコインが無くなった人は最下位から順に順位付けで脱落である。
佐山は叫んでいるということは残っている、、、、?
叫んでるのに残ってるのか、彼奴。
そんなことを言っていたら揃った。上りである。
「一抜け、ですね」
「では、終わるまで少々お待ちください。一位を取られたのは悔しいです」
「いえいえ、辻川さんももう三枚じゃないですか」
因みに隣の渡辺先輩は可哀想なことに残り七枚である。
整った顔の眉を顰めてらっしゃる、、、、どんまいです、先輩。
「そんな、何だか俺が可哀想みたいな顔をするな、、、、」
「頑張れとしか言えないです。渡辺先輩」
「どうにも、、、、カードの引きの運が無いようだ」
「ま、まぁ、、、遊戯ですから、そういうことも、、、」
「ポーカーフェイスも役に立つどころか出番が来ない、、、」
「まぁ、、、、次はポーカーですから」
「そうだな、、、役に立つと良いが」
「立つと思いますよ、多分」
「多分だもんな、、、、」
「遊戯ですからなんとも」
「そうだなぁ、遊戯だもんな、、」
そう言っては机に撃沈している。死にそうな呻き声聞こえてますよ渡辺先輩。何気に負けず嫌いだったんですね。というかお茶目だった。可哀想に、、、運が味方してくれなかったようだ。
それでも後半は運が向いてきていたのか最終的には三位、あそこから巻き返されるとは誰も思わないだろう。
順位としては自分、辻川嬢、渡辺先輩、堤先輩、鷲尾さん、山極先輩というふうに。
堤先輩はジョーカーを引いた時に顔に出しすぎて渡辺先輩に負けていたのは面白かった。
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