洋館とトランプ遊戯(1)[チーム分け]
移動も終わり、荷物を各自の部屋に運ぶ。
自分も割り当てられている部屋に荷物を運んでは広間に戻る。
皆談笑している。なんとも微笑ましい光景だ。
この後は食事を作って、皆で食べのんびりするだけだ。
自分の担当は明日の為ゆっくりと出来る。
裏手には小さな丘があり、一本の大きな樹木とベンチがある
其処で本でも見ながら星を眺めよう。
あの本を読もう。せっかく持ってきたのだから。
あの愛おしい程に読んでいる本を。
「おう、荷物運び終わったのか」
そう言って声をかけてきたのは佐山だった。
「終わったよ、佐山こそ終わったのか」
「おう、終わって着替えてきた。流石にこっちはまだ寒くてな。カーディガン出してきた。」
「それは分かる。少し冷えてるよな」
「おう、お前も上着着てきたのか」
「流石にな。この後外に出ようと思ってたから」
「星か」
「綺麗に見えそうだろう」
「天気良いもんなぁ」
「裏手にいい感じのベンチもあるからな」
「そういや言ってたな」
「酒も持って行こうかと思ってる」
「ここにきてまで一人酒かよ」
「ここに来たからこそだろ」
「めげないなぁお前は」
「まぁ、人間性はそうそう変わらんだろう」
「そうだけどよ」
「ほら、なんか始まってんぞ」
そう言って話題を逸らした。趣味の話は面倒だったのと辻川嬢が何かやろうとしていたからだ。
「皆様、宜しければベタですけれどトランプ遊戯をしませんか?」
トランプか、自分は得意な方だから楽しめそうだ。
「何をするんだ、トランプで」
そう声を上げたのは渡辺先輩だった。確かに、一セットでこの人数は難しいだろう。
「ババ抜きとポーカーを勝ち上がり式でしようと思っています。トランプなら数を持ってきたんです。その、、皆様とやってみたくて」
かわいい、、、ゲフンゲフン
確かにお嬢様はやったことが無さそうではある。
「成程、面白いな。俺はやろう」
流石渡辺先輩、優しいイケメンである。
そうして全員が賛同した為遊戯をすることになった。夕餉前の遊びと思えばいいものだろう。
辻川嬢が簡単にルールを説明してくれた。
まずは6人ずつに分かれババ抜きチームとポーカーチームにする、そして一位が決まったら遊戯をチェンジし、そこでも一位を決める。最後には一位同士と最下位同士でポーカーを、そのあと上位六名と下位六名でババ抜きの王者と最弱王を決めて終わるという。中々に楽しそうだ。
分けっこをして組み分けはこんなふうになった。
先にババ抜きをするのが自分と辻川嬢、渡辺先輩、鷲尾さんと山極先輩に堤先輩、先にポーカーをするのが仲良し三人組に足立先輩と横手さんに佐山だ。
中々に展開がわからない。誰が強いのかもわからないのだから楽しそうだ。
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