ー 無間 無価値 思考 ー
誰かが
泣いている
扉の向こうで
何故泣いているのだろうか
如何して君は泣いているのか
如何したら泣き止むのだろうか
扉を開けたら泣き止むのだろうか
否、泣き止むことはない
己がそれを一番知っている
未来永劫泣き止むことはない
泣きやめないのだ、この子供は
この小さな子供の涙は止まることを知らない
ずっとずっと只己が悪いのだと泣き叫ぶのだから
―現在―
「はぁ、、」
溜息が溢れる。
果たして小説とはこのようなもので良いのだっただろうか。
己には矢張り文才なんて言うものは無いのではないだろか。
そんなくだらないことを考えながら。一人の人生を己が書いたところで誰も読まないだろうに。よっぽど彼女のほうがロマンチストで文才があったように思える。お嬢様だから当たり前かもしれない。
朝おいてあった飲み物はすっかりぬるくなってしまった。
嗚呼、そうだ。今日はなんだかカウンセリングの日だった気がする。せめて顔ぐらい洗おう。
佐山から届いた荷物には本が入っていた。自分がずっと読みたがっていたものだ。ありがたい。
だが彼奴に読みたがっていたこの本の話なんてしていただろうか。
全く記憶にない。酒でも呑んだときに話したのだろうか。あり得はする。大いにあり得てしまう。余計なことを喋っていないのを祈るばかりだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます