部屋と紙(3)[企画と氷]

そんな茶番はおいておいて、仕事を進めてしまおう。休日返上は自分も嫌なのである。

「佐山、何処まで終わってるんだ」

「そもそも仕事は終わってて幹事のやつだけ」

「なるほどな」

「お前さんは」

「企画書見せただろう、幹事のだけだ」

「確にな、んでどこまで積めればいいのさ」

「全部」

「ぜんぶ」

「全てだ」

「本気でいってるのか」

「上の禿共に言え」

「おいおいまじかよ」

「ほれ、だから言っただろ。忙しいと」                                      

「しゃーちくぅ」

「お前には言われたくないぞ」

「俺はお前ほどじゃ無い」

「その心は」

「多分社畜」

「よぉしよく言った」

「社畜は社畜以外にはなれないんだから仕方ないだろ」

「否定はしない」

「よし、つまみ食べようぜ」

「まぁ、、そうだな。」

煮卵をつつきながら書類を眺める。

嗚呼、ここで楽しめそうだ。

「ふふ」

「如何した」

「いやなに、これは楽しそうだなぁって」

「うわ怖」

「失礼な」

人が楽しんでいるのを怖がるとは、何たることだ。

「いや、書類眺めて笑うって怖いだろ」

「怖くないだろ」

「いやいやいや、怖いわ」

「煮卵美味しかったんだよ」

「、、、はじめからそう言えよ」

「お前で遊んでるんだ」

「酷え」

「気のせいだ」

「気のせいじゃないだろ」

「場所が面白くてな」

「場所が」

「いい星を見られそうだ」

「星好きだよなお前」

「面白くてなぁ」

「囚われないからか」

「なんのことやら」

「呆けやがった」

「囚われなんていらないだろ」

「煩せ、酒が不味くなる」

「つまみ食うか」

「書類はあとにしようぜ、テレビ面白いの今日やってるぞ」

「何曜日だ今日」

「金曜」

「だからお前明日休みか」

「だからそう言ってるだろ」

「テレビなんかやってたっけ」

「ゴールデンだぞお前」

「それもそうか」

「それもそうだよ」

「氷入れ直すか」

「おう」

「ストロングか」

「次はサワーで」

「珍しいな」

「呑まないとやってられない気がした」

「なんか失礼だな」

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