ー 無間 無意味 思考 ー

嗚呼、そうだ、それは何時だかのごく普通の会話だった。単なるネットニュースの話だった。そこから僕の全てが変わってしまったんだ。

それまで僕が普通だと思っていたことがことごとく覆ってしまったんだ。

好奇心は猫をもなんたらとは言うものだ。あのときの僕に好奇心がなければ良かったのかもしれない。否、きっともう、時間の問題だったのだろう。僕が、僕の家族が、僕の普通が一般的な普通ではないということを知るのは。

もし、と今になっても僕は考える。もしもの世界なんて夢物語だというのに。

もしもの世界があるのならば、、、、僕は、、、もっと悩んでみたかったとも思う。苦しんだかも知れないが、その方が僕は普通を知れたのかもしれない、だなんて贅沢な悩みかも知れない。

過去ばかり考えてもいられないとはいうがきっとそれは過去がその人を蝕むほどのものじゃないのではなんて失礼なことさえ思ってしまう。自分が阿呆なだけなのだろうか、それとも微妙に弱くて、微妙に強くあってしまっただけなのだろうか。

選択肢を与えられて困る、普通だと思っていた。自分には常に自分の意見が殆どなかった。ないという意味ではないのだ。自分の意志はあるし嫌なこともやりたいと思うこともないわけでは無い。本当に欲しいかと聞かれたら欲しくないかも知れない、やりたいのかと言われたらやりたいのかわからなくなる程度に薄いのだ。昔から他人にやることを決められていたのが主な原因なのか、生まれた時点で己が可笑しかったのか、分からぬことではあるがどちらもなのだろう。どうせ、はじめから自分は可笑しかったと割り切ってしまったほうがきっと早い。

皆が将来の夢を希望を抱いた瞳で答えるのが不思議でならなかった。ませた子供だとは思う。中二病だろそれと言われたことがある。哀しきかな、中二病だったのなら僕は小学生の頃から中二病だったらしい。まぁ、そんなことはないのだが。きちんと仮面ライダーは好きであったので中二病ではないだろう。幼稚園は流石に子供だった筈だ。はず、、、否、嘘かもしれない。

幼稚園で腕に薄手のハンカチを巻いて仲間だねとか怪我してるのはこうやって、、、とか、、、

前言撤回して中二病だったのかもしれないと言うべきかもしれない。僕はませすぎた子供だったのだろうか。可笑しい、、先程までまともなことを考えていたはずなのにとても脱線したような気がする。

思い出浸りのせいだろうか。

なんだか可笑しくて僕は鼻で笑った

思い出、想い出、歳の分だけ増えていくもの。

こほり、と一つ咳が洩れる

嗚呼、積み重なったこの想い出達でも僕の首を締めてはくれないのだ。普通だったらとっくに締まりきって苦しみもだえていただろうに。如何してこうも僕は普通になれぬのだろうか。何時になれば僕は普通を、苦しみを、哀しみを理解出来るだろうか。


嗚呼。違うのだ、僕は理解出来ぬのだ。この先どれだけの想い出を積み重ねようがきっと解からぬのだろう。幾ら演じようが私が、僕が、俺が、己が理解など出来ぬのはとうに分かっていたのだ。最適解などもう無いのだ。

嗚呼、何時になったら君にまた会えるかな。会えないけれど。会えたなら僕の首をまた締めてくれるだろうか。

嗚呼、矢張り道化でしかない。


哀しきかな、なんて思ってもいない。


虚しき、空虚な僕は僕でしかいられない。

失敗作は道化にすらなれぬのかもしれないと彼は思った。

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