想い出とランキングと(4)[想い出と思い出]

そんなことは置いておいて。

会計を済ませ帰宅する。

「お邪魔しまーす」

「律儀だなお前」

「礼儀は叩き込まれたからなあ」

「よし、この話は終わりだ」

「早いなおい」

「そんなもんだろ」

「まあ俺は構わんのだが」

「佐山、酒冷蔵庫入れろ」

「ハイハイわかりましたよ王子様」

「よし、ストロングは無しでいいんだな」

「嘘だ俺が悪かった」

「素直でよろしい」

「鬼畜過ぎるだろこの王子」

「王子にするのが間違いなんだよ」

「それは俺に言うなよ」

「ん、上着はそこに掛けとけ」

「ハンガーあるか」

「中に入ってる」

「ラジャ」

「なんか食うか」

「さっきコンビニで買ったチキン食べようぜ」

「ビールかストロングか」

「ストロングだろ」

「缶かコップの氷入りか」

「コップ借りていいか」

「構わん」

「ノーパソ置くとこあるか」

「机の上」

「うい」

「シャワー浴びてこいそのまま寝落ちするだろ」

「シャツ借りていいか」

「サイズ同じだからいけるだろう」

「今度洗って返すわ」

「ちゃんと返せよ」

「当たり前だろ」

「ならば良し」

「うし、シャワー入ってくる」

「シャツは風呂の外に置いてある」

「りょ」

さて、、、片付けるようなものも無いような部屋だ。彼女が出来ないのはこういうところもあるのだろうか。解せないところである。佐山が出てくる前に書類を片してしまおう。

ビール缶を開け、片手に書類を眺める。しかし職場でもない為中々飽きてくるのが人間というものだ。佐山に邪魔されて遠のいていた思考が帰ってくる。何故自分はあのような下らないことを考えていたのだか。嗚呼、如何にも今日は良く昔のことを思い出す。それも要らない〔想い出〕ばかり。

〔想い出〕良い思い出、良い想い出、思い出とは二種類あるのではないかと自分は思っている。思い出せば懐かし思う思い出と、その人を形作る元となる想い出。トラウマなどは専ら想い出だろう。今更過去は変えられないのだから。

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