想い出とランキングと(2) [コンビニとノーパソ]
「御存知では無かったのですね。今年は圧勝だったと聞いておりました。ふふ、イケメンですものね」
「そんなことは無いと思いますけどね」
いや、事実ではあるのだろう。モテはするのだから。
「此奴はちっとばかしツンデレなんですよ。辻川嬢」
ストロングは抜いておこう。絶対に買わない。
「あら、そうなんですか。彼女さんがいらっしゃると聞いておりましたが」
「はい、、、?」
「あら、、、?」
おいおい、年齢イコールではないにしろ自分は今フリーである。
「お前、彼女居たっけ」
「いや、、、、居たのは三年前が最後だ。」
大学の最後で別れたのだ。向こうが就職に失敗し、実家に帰るからと一方的に縁が切れてしまった。
「何かの勘違いではないでしょうか。今は彼女は居ませんから」
「では、噂が独り歩きしてしまったのですね」
「そうみたいですね。」
誰だそんな噂の元は、、、、
モテるのに彼女居ないんですねと言われる俺の虚しさを知れ。
「此奴はモテるのに長続きしないんですよ。それに中々優男過ぎるってのも難なんでしょうよ」
仕方ないストロングは買ってやろう。
「ふふ、思っていたより表情豊かなんですね」
「自分が、ですか」
「はい、もっと冷たい方だと噂で」
「ふはっ、そりゃ良い噂ですね辻川嬢。此奴は冷酷無比とか言われますけど全然真反対ですよ。寧ろ良く喋るし良く笑う」
何故逆に自分は冷酷無比だと言うのだ。
「そんなに自分は冷たく見えるのだろうか佐山」
「いや、顔付きだろ」
「顔面か、、、」
「面白い方ですね。ではお仕事のお邪魔になってしまいそうですし日をあらためて伺いますね」
「嗚呼、済みません態々」
「いえいえ、此方こそ突然すみませんでした」
「では、お先に失礼します」
「はい、これ私の連絡先です、宜しければ予定の空いている日をご連絡下さい」
「分かりました。また後で連絡します」
「はい。お疲れ様でした」
「「お疲れ様です」」
佐山、空気読めたのだな、お前。などと失礼なことを思いながらも二人でその場を去っていく。
「辻川嬢と連絡先交換とかすげぇなお前」
「最早ホラー」
「辻川嬢に失礼だろ」
「いや、佐山、考えろ。平穏ライフに姫様は違う」
「平穏じゃないだろお前の人生」
「これからの平穏ライフの話だ」
「お前が平穏ライフって、、、隠居でもしないと無理だろ」
「なんでだ」
「お前歳と精神あってないから。達観しすぎて」
何ということか。俺は中身じじいと言いたいのか佐山よ。
「誰が爺だ」
「そういうことじゃないぞ天然記念物」
「人間は天然記念物ではないだろ」
「天然って知ってるか」
「自分は天然ではないぞ?」
「駄目だ此奴」
天然記念物の話を何故急にしだすのだ此奴は。
「少なくとも自分は爺でも天然でも無い」
「そういうことじゃねぇんだがなぁ」
「まあいい、コンビニ行くぞ」
小腹が空いて仕方ないのだ。煮卵が食べたい。
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