悪手への対応
ん? 急にどないしたの?
前に母様が言ってたお話を今思い返したのです。
やっぱり人間が生き残ったのは不思議なのです。
あぁ、あの話な。あの頃は人間にとっての神様が2人程おったんやで。
神様……なのです?
そや。そのおかげさんで生き残れたんやで。
どんな神様だったのです?
ふふ……秘密やなぁ。
────────────────
パパラのおかげか風邪も一日で治り、今日は仕事へ。
ミヤさんへ休んでしまった事への謝罪と、昨日変わったことが無かったかを聞きに行き……。
みんな気のせいかよそよそしいのは何故でしょうか?
ミヤさんは昨日の事が話題がなると明らかに目を反らしましたし。
ツヅラオに聞いても、
「頑張ってくださいなのです」
と、帽子をぎゅうっと深く被って目を合わせないようにしてきますし。
まぁ、この辺りで多少嫌な予感はしていたのですが……。
ドドドドドドドドド
と 擬音が見えてくるくらいの全力疾走で、50人は下らない冒険者さん達が、ギルドに入れるようになった瞬間ダンジョン課を目指して来てですね?
あの戦闘を見てやる気になったのか、と一人感心していましたら、
「俺のパーティに」
「馬鹿野郎俺の方が先だったんだぞ」
「前衛が少ないのでうちにぜひ」
「いやそれより俺と手合わせを」
「昨日は本人不在で帰ったんだから本人居るなら話を」
と、捲し立てられ。
困り果ててミヤさんを振り返れば、天を見上げながら口笛なんて吹いてますし。
ひょっとして……これ全員昨日も来てたんですかね?
いや、確かに人間だと誤魔化せたままだったとはミヤさん言ってましたが……。
まぁ、でも、確かにパーティに勧誘したくなりますよね……。
はてさて、人間などとつるむつもりなどかけらすら思ってませんし、どう断りましょうか。
ふむ、こう答えてみますか。
「えと……その……」
と私が口を開くと、それまで
どんな事を言うのか絶対に聞き漏らさないという意思が伝わってくる。
「わ、私、一昨日の様に戦闘をしますと、昨日の様に体調を崩してしまう体になってしまいまして……。そのせいで冒険者を諦めざるをえなかったので……私がパーティに入ってもお役には立てない……かと」
ミヤさんがこちらに動いてくるのを横目で確認。フォローをしに来てくれているのでしょうか。
「なので、手合わせというのも……」
約半分の冒険者が明らかに残念そうな顔になり、もう半分は、でも、と言いたげな顔。
そこへミヤさん到着。
「一昨日の戦闘も俺が無理矢理頼み込んでやって貰ったんだ。それぐらい今の
怒鳴る、ではなく
「彼女を超えてやる、と意気込んで頑張っている
最初は反論しようとしていた冒険者もいたが、この言葉で完全に押し黙る。
自分の中に甘えがあった、と。
心の中に思い当たる節があったのだろう。
そして、
「そんでもって、手合わせ? そっちは笑えて来るぞ。俺にすら勝てないお前らみたいな未熟者が、Sランク相手に立ち回った彼女に万に一つの勝ちの目もねぇよ。まずは俺を
にっかりと笑い、そう言い放つ。
段階を踏め、と。
詰め掛けている冒険者には手練れの冒険者も少なくはないが、それらもひっくるめて”未熟者”と言えるミヤさんの頼もしさたるや……。
「あの戦闘の映像はギルドで販売してるから、勉強する気があるなら買ってけや」
それが冒険者達に向けた最後の言葉となり、
ダンジョン課へ詰め掛けた冒険者達は、そっくりとミヤさんの教育課へ移動する。
あの映像……中継だけではなく録画すらされていたんですか……。
いいようにやられたのであまり見られたくないんですけど……。
まぁとりあえず嵐は去った。とフォローをくれたミヤさんに感謝しつつ、自分の机へ戻る。
ツヅラオから、
「昨日は本人不在という事で引き取ってもらった方々なのです。問題を後回しにしても大丈夫なのですかと昨日聞いたのですが、ミヤさんはなんとかなるっしょーと言ってただけだったのです」
と昨日の事を聞かせて貰い。
私が説明した内容でゴリ押せるフォローを思いついたから助け船を出した。
という結論に私の中で
*
「一昨日の戦闘を見た人達が積極的にダンジョンに挑戦するようになってるみたいなのです」
とツヅラオから報告を受け、確認してみれば……。
うわー、過去最高にダンジョンが利用されていますね。
これをちゃんと被らないように
少しだけ背伸びして挑戦したような冒険者もいるのでしょうかAランクのダンジョンもちらほらと紹介しているみたいですし。
早く皆さん強くなって頂きたい次第で。
というかこれ、モンスターの補充依頼が大変なことになりそうな……?
まぁツヅラオ居ますし……何とかなって欲しいですね。
と、こうして午前中は押しかけてきた冒険者への対応と、ダンジョンの紹介を希望する冒険者の対応をして終了した――ただ、午後からは…………地獄が待っていました。
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