第65話 楽しそうなジュリエットさん


「リリアン姫様も英雄化したいんですか?」王宮内の近衛騎士団このえきしだん総合武道場の二重扉にじゅうとびらの左右に屋根と柱だけのテント・タープテントの大きいのが5つずつならびその床に体操マットがキレイにしかれた上に、他の人たちといっしょにぐったりと寝ているリリアン姫を見つけたので声をかける。

「ああ、アルヴィンさんですか……。私昨日の夕食後から熱波ねっぱ範囲内はんいないで剣術のけいこをしていたのですが、さきほど3度目の熱中症になって運ばれてきました……」とリリアン姫上半身だけを起き上がらせ、元気がない声で答える。

「まわりでたおれてる人たち半分ぐらいおじいちゃんおばあちゃんですけど、なんでこんなことになってるんですか?」

「いつ英雄化してもおかしくない魔力の層18層以上が、おじいちゃんおばあちゃんと不老の薬を飲んだ人たちだからですよ?」と言ってリリアン姫は、お付きのメイドさんにわたされた飲み物をごくごく飲む。

「え? リリアン姫様もですか?」

「いえ! 私はコネです!」飲み物で元気になったのか、リリアン姫が元気に答える。

「ああ、そうですか……」

「そういうこともあるよね!」とリリオーネ。


 王宮内の近衛騎士団このえきしだん総合武道場の中に入るとすぐに空中戦をしているジュリエットさんたちを見つけたが、素早いすばやいうえに遠くとおくで何をやっているのかわからない。

「フィリオーネさん!リリオーネさん!フロレーテさん!じゃまにならない範囲はんいで近くまでよって、視覚情報しかくじょうほう送っておくってもらえないでしょうか!」

「「「しょうがないわね~。あたしも知りたかったし良いよ!」」」とフィリオーネ・リリオーネ・フロレーテが、ジュリエットさんたちのまわりに飛んでいき視覚情報しかくじょうほう送っておくってくる。

 先頭を飛んでいるのはロロなのだがルルが方向転換するとルルを視界に入れた状態で先頭を飛ぶようにしているので、今狙われているのはルルなのだろうか?

 そう思ってみてみるとルルは、ルイーズさんを視界に入れた状態で後ろ向きに飛んでいる。

 ロロは、そのルルとエマさんを視界に入れるように後ろ向きに飛んでいる。

 エマさんとルイーズさんはメイド服ではなく首だし全身タイツ風竜鱗りゅうりんにドラゴンの羽を出した姿すがたで、ジュリエットさんの視界にルルが入らないように飛んでいる。

 それも近衛騎士団このえきしだん総合武道場の奥行きの終点になる前に、状況が変わる。

 ルルが90度方向転換した所でジュリエットさんの視界に入り、ジュリエットさんは見えない空中の足場と壁を使って三角飛びでエマさんとルイーズさんを振り切りルルに迫る。

 そこでルルの後ろに待機たいきしていたロロがジュリエットさんの顔面に突撃とつげきし顔面にはりつこうとするも、ジュリエットさんの右手につかまりエマさんの方に投げつけられる。

 その間にルルは大回りに方向転換し距離をかせいでいたが単独行動だったので、あっという間にジュリエットさんに追いつかれ空中の見えない足場と壁を使った三角飛びであっけなくつかまる。

 そしてジュリエットさんは、ぼくの方に空中を走って近づいてくる。

「ひさしぶり! アルヴィンちゃん!」

「ひさしぶりって、まだ1日ですよ? それより今のエマさんとルイーズさんとロロとルルの、魔力の層の数ってわかりますか?」

「エマちゃんとルイーズちゃんが22層! ロロちゃんとルルちゃんが19層だよ!」

「エマさん2層もあがったんですね!」

「そう! 全員18層以上だから、いつ英雄化してもおかしくないんだよ!」

 話している間にまわりをエマさんとルイーズさんとロロとルルにかこまれて、ジュリエットさんはルルを正面にするように位置取りをする。

 それによってジュリエットさんの右手側にエマさん左手側にルイーズさん、正面の手の届かない場所にロロとルルがジュリエットさんの両手を広げたより広く離れてタイミングを見計らっている。

 ジュリエットさんは右手でエマさんのジュリエットさんの手を捕まえつかまえようとする両手を左手でルイーズさんのジュリエットさんの手を捕まえつかまえようとする両手を、片腕片手ずつ別の生き物のようにあやつって叩き落としてはたきおとしていく。

 そこにロロとルルが上下左右たくみにおたがいの位置を変えながら近づきそれぞれ加速してロロはジュリエットさんの顔面に突撃しルルは地面すれすれからジュリエットさんの足に突撃していく。

 そこでジュリエットさんは左右のエマさんとルイーズさんの両手を叩き落としはたきおとしながらルイーズさんの足をはらい転ばせころばせ空いたあいた左手で顔面に突撃してきていたロロを捕まえてつかまえて投げ飛ばし足元のルルをジャンプしてよけようとした所で右手をエマさんに捕まえられつかまえられ足元のルルをよけられずに、汗の浮かんだあせのうかんだ素肌すはだの右太ももに張り付かれるはりつかれる

捕まえたつかまえた! 10かぞえてね!」と言ってルルは、一指拳いっしけんの一族が捕縛術ほばくじゅつの訓練をしている所に走っていったエマさんを追いかけていく。

「あす休み何で、あさって来ますね!」

「りょうか~い!」ジュリエットさんは、楽しそうに数を10かぞえだした。


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