第64話 エマさんの手ごたえ

鬼ごっこおにごっこのルール説明をします! エマちゃんとルイーズちゃんはジュリエットに手のひらでさわられたらおにになりますが、その場合ばあいの次の標的ひょうてきはジュリエットとします! おにになった子をうまく補佐ほさして2人で、ジュリエットをおににしてください!」と、ジュリエットさんは楽しそうに説明をする。

 ちなみに今の場所は王宮内の近衛騎士団このえきしだん総合武道場なのだが、前世の世界のサッカーコートぐらいの広さに近衛騎士団員このえきしだんいんと話を聞きつけた街の警備担当まちのけいびたんとう衛兵隊員えいへいたいいんが集まって各々おのおので戦闘訓練をしている。

 その戦闘訓練をしている近衛騎士団員このえきしだんいん衛兵隊員えいへいたいいんの間をぬって、鬼ごっこおにごっこをするように言われている。

「あたしとルルも、鬼ごっこおにごっこに参加していいかな? エマちゃんやルイーズちゃんと心をつなげる魔法を使っているから、エマちゃんとルイーズちゃんが英雄化した時に一緒に英雄化するかも?なんだけど?」とフェアリーのロロ。

「いいけど、ずいぶん危険な魔法を使ってるのね……」とジュリエットさん。

「危険って?何が?」とフェアリーのロロ。

「それぞれが自分自身をしっかりもっていないと心がまざりあっちゃうから、一般的には言葉を最低限さいていげん伝達でんたつする表層意識ひょうそういしきだけを使う時だけつなぐ魔道具を使うのが安全ってやつなのよ? それで、あたしちゃんの名前は?」

「ロロだよ! フェアリーの竜使いロロ!」

「じゃあジュリエットはエマちゃんロロちゃんルイーズちゃんルルちゃんの順番でおににしていくから2人と2匹で協力して、ジュリエットを追い詰めおいつめたり邪魔じゃましたりしてね! じゃあ10かぞえるから逃げて! い~ち、に~い、さ~ん」

 ジュリエットさんが数をかぞえる中、エマさんは両手のひらの指をそれぞれそろえて胸の前の空間にかまえ両足を肩幅に広げジュリエットさんがかぞえ終わるのを待つ。

「エマちゃん!鬼ごっこおにごっこってそういうのじゃない!」と、あわてたようすのフェアリーのロロ。

「し~い」

闘いたたかいのかわりだろ? これであってるぞ?」と、落ち着いた様子のエマさん。

「ご~お」

「それより、闘いたたかい補佐ほさをたのむ!」

「ろ~く」

闘いたたかいじゃなくて、鬼ごっこおにごっこね! 補佐ほさはするけど……」

「な~な」

 まずルイーズさんがエマさんをかくすように前に出て、エマさんと同じポーズをとる。

 その右にロロが、ルイーズさんをはさんで左にルルが配置につく。

「はちきゅうじゅう!」それを見てジュリエットさんが、残りの数を早口でかぞえ終わる。

 まずジュリエットさんがルイーズさんの右手側をぬけようとそぶりを見せるとルイーズさんもそちらを通さないようにふさぎに行こうとする、その反対側のあいた場所をジュリエットさんが通り抜けるとおりぬける

 そのジュリエットさんが通り抜けたとおりぬけたさきにすでにルルとロロがいて妨害ぼうがいするが、ジュリエットさんの左右の手が別々の生き物のように動きそれぞれの手にルルとロロを捕まえつかまえ左右に投げ飛ばす。

 ジュリエットさんは残りのエマさんには真っ正面まっしょうめんから腕をつかみに行ったが、つかみに行った腕を1回叩き落とされたはたきおとされただけで逆の手をあっさりとつかむ事に成功した。

「じゃあ、10かぞえてね!」と言ってエマさんの右側を通り抜けてとおりぬけて、あっという間に近衛騎士団このえきしだん総合武道場の奥の方おくのほうに走って行った。

「なんかさきが長そうなので、日を改めてひをあらためてまた来ますね!」

「ああ!手ごたえはある! 一指拳いっしけんの一族との決闘けっとうは、むだではなかった!」と言ってエマさんはジュリエットさんのつかもうとした腕を1回叩き落としたはたきおとした時のイメージを定着ていちゃくさせるように、左右の腕を何回か動かした後で数を10かぞえだした。


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