第63話 熱波のジュリエットさん


「ちょっと!ぼうやたち? この間は、警戒けいかいさせちゃってごめんなさいね? この熱波ねっぱは攻撃じゃないの! 常時発動型の英雄特性なの! 私ジュリエットって言うんだけど、ジュリエットも困ってるの! 英雄になってからず~~~とこの熱波ねっぱの中心にいて、ちょっとイライラしてたの! ジュリエットの悩みなやみを、聞いてくれないかな?」ぼくとフィリオーネとリリオーネとフロレーテとロロとルルとエマさんとルイーズさんで春なのに1分前から猛暑日もうしょびみたいな気温の中住宅街を歩いていると、ぼくに感知出来ない魔力の層の英雄の気配をまとった可愛い女性声でのへりくだった口調に後ろから話しかけられた瞬間猛暑日もうしょびから酷暑日こくしょびの気温に変わったのを確認して、ぼくは振り返ってその格上の英雄の全身を視界に収めたおさめた

 外見年齢17才のフェアリーたちより若干若く見えじゃっかんわかくみえ外見年齢15才のピクシーたちよりは大人に見える、外見年齢16才と言った感じの美人さん。

 ショートカットで身体にピッタリはりついたタンクトップがおわん型の胸を強調しているわき毛は処理をしているのか生えていないはえていないズボンはホットパンツをはいている、そしてぼくたちもなのだが汗をダラダラとかいている。

悩みなやみですか? 格上の英雄さんの悩みを、ぼくが解決できるとは思えないんですけど?」

「正確に言うとぼうやの付き人のメイド2人なんだけどいつ英雄化してもおかしくない準英雄じゅんえいゆうに見えるから、しばらくジュリエットと一緒に生活してジュリエットの英雄特性を何とかしちゃう英雄になってもらえないかな?と言う提案ていあんなんだけど? どお? 興味きょうみな…」

「「興味きょうみあるぞ!」」とエマさんとルイーズさんが、食い気味にジュリエットさんに答える。

「良い話に聞こえますけど、具体的にはどうやって英雄化させるつもりですか?」

「普通の模擬戦闘もぎせんとうだとどちらかの一方的な勝利だけで競っていないきそっていないから、英雄化までに何年もかかりそうでしょ? だから今回は、鬼ごっこおにごっこ競いますきそいます! 競っているきそっている間もジュリエットの熱波ねっぱにさらされているので、ジュリエットの熱波ねっぱを何とかしてしまう英雄に覚醒かくせい!と言う流れです!」と、得意げとくいげに自説をのべるジュリエットさん。

「うまくいけば英雄になれそうですけど、場所はどうするんですか? えらく迷惑なんですけど?」

「密閉された建物の中なら熱波ねっぱは外に出て行かないから、どこかの建物を借り切ってやるかどこかの森の奥でやります!」

「森の奥だと森の動物たちやモンスターが迷惑して討伐とうばつに来ちゃうかもしれないので、建物の中ですね。良い建物に心当たりがありますか?」

「ないわよ?」


「と言う事なんですお母様!」

「ちょっと、リビングで待ってなさい!」とソフィアお母様、寝室に消える。


「それでどうしてそんな迷惑な能力が目覚めたんですか?」リビングのソファーにすわって一番に、ジュリエットさんに質問する。

「パパとママと弟のライちゃんとジュリエットで雪山に樹氷じゅひょうを見に行くツアーに参加したんだけど、先行せんこうしていたパパとママと弟のライちゃんがジュリエットの目の前で雪崩なだれに巻き込まれたの……」と、ジュリエットさんが暗い表情で話す。

「つまり、家族の死をきっかけに英雄化したんですね……」

「違うわよ? その時の英雄化で、ツアー客ふくめてジュリエットの家族全員助かったの!」

「え? 気温をあげる程度の能力ていどののうりょくで、助かるとは思えないんですけど?」

「ジュリエットの常時発動型の能力は気温上昇だけじゃないの、範囲内はんいないの氷や氷の結晶こおりのけっしょう瞬間的しゅんかんてきぬるま湯ぬるまゆに変えるのがメインの能力なの。つまり英雄化した瞬間に視界に入る範囲全ての氷と雪がぬるま湯ぬるまゆに変わって濁流だくりゅうになった瞬間さらに手に入れたばかりの能力に力を入れて、ぬるま湯ぬるまゆぬるま湯ぬるまゆのまま蒸発させてジュリエットの家族全員とツアー客全員助かったのよ?」

「ああ、それでですか……」と言ってメイドのシャーロットさんが、ジュリエットさんとエマさんとルイーズさんとフェアリーたちの前にワゴンからガラスコップの表面が結露したオレンジジュースとガラスの表面が結露したガラスの深皿に入った赤や青や黄色の謎の液体を並べる。

「もしかして……かき氷もってきてくれたんですか?」

「はい……」とメイドのシャーロットさん。

「あったかいオレンジジュースって初めて飲んだけど……おいしくないね……」と、しょんぼりしたリリオーネ。


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