第6話 これからよろしくお願いします!ご主人様!

 4人での食事が終了する。


「お腹いっぱいになったし、さっそく4人で買い物に行こう!」


「い、いえ!私たちが行っても足手まといになるので、私たちはここでお掃除をさせていただきます!」


「ウ、ウチもここに残って……」


「ダメだよ。君たちも買い物に行くよ。いつまでもブカブカな服を着てるわけにはいかないでしょ?」


 今のリリィたちは、レオナルドが着ていたであろうシャツを着ている。


 そのため、小柄な女の子だとブカブカになってしまい、動きづらそうな格好となっている。


「い、いえ!この服で満足しておりますので……」


「ルビア、強引でもいいから2人を連れてきて」


「わかったわ」


 俺のお願いにルビアは頷き、2人の下に行き…


「2人が断るからレオくんが困ってるわ。ここは素直に頷いて私たちと買い物に行くわよ」


「そ、そうですね……レオ様を困らせてしまい申し訳ありません」


 リリィの言葉にミュアも頭を下げる。


「いいよ、これくらい気にしないから。じゃあ、4人で買い物だ!」


 俺たちは近くの街に出かけた。




 レオナルドの家は街から少し離れた場所にある。


 そのため、近くにある街まで少し歩くことになる。


 俺たちは雑談をしながら歩き、街に到着する。


 この街は『帝都』と呼ばれているらしく、この世界で『王都』に続き2番目に大きい街とのこと。


「へー、帝都って結構賑わってるんだな」


「えぇ、数回来たことあるけど、いつもこんな感じよ」


「リリィとミュアは……」


 ――来たことある?と、聞こうとしたが、2人とも目をキラキラさせて周囲を見渡している。


「2人は来たことないようね」


「そうだな」


 俺たちは街を歩きながら、服屋を目指す。


 周囲に聞き込みをして、この街で有名な服屋に到着する。


「さぁ!好きな服を選んでいいぞ!」


 と、言っても、一向に動き出さない3人。


「お、おい。何してるんだ?せっかく買い物に来たんだから……」


「や、やっぱり服はいりません!」


「そうです!ウチらはこの服で大丈夫です!」


「えぇ、私も今の服で……」


「あーもう!いつまでそんなこと言ってるの!?もう着いてしまったんだから買うよ!3人ともかわいい女の子なんだから、オシャレしないとダメだよ!」


 俺が3人に服を買ってもらおうと説得すると、なぜか3人の顔が真っ赤になる。


「ど、どうした!?」


「い、いえ、なんでもないわ」


「わ、私のこと、か、かわいい……って……」


「ウ、ウチも……」


(な、なんだ?よくわからんが、黙ってくれたのは好都合だな)


「さぁ、時間ももったいないから、はやく買おうぜ」


 3人は渋々納得して、服を選び始める。


(ルビアにお金を渡して俺は外で待つか)


 俺はお金を渡そうと、ルビアに話しかけると…


「ね、ねぇレオくん。コッチとコッチの服、どっちが似合うと思う?」


 そう言って、胸元が大胆に空いたワンピースを両手に持っており、違いは色が黒か赤かという点だけ。


「そ、そうだな。俺は赤の方がいいかな?ルビアの髪も赤だから似合うと思うぞ?」


「そ、そう。ならこの服を買おうかしら」


「えっ!俺の意見を参考にしなくても……」


「レ、レオ様。この服は私に似合うと思いますか?」


 今度はリリィから声がかかる。


「ん?とても似合うと思うぞ?」


「そ、そうですか……あ、ありがとうございます」


「あ、あの……ウ、ウチもこれ、似合うと思いますか?」


「あ、あぁ。ミュアの服も似合うと思うぞ?」


「えへへ、ありがとうございます」


 2人は俺の答えに満足したのか、その服を購入するようだ。


(俺に意見なんか聞かなくてもいいのに)


 そんなことを思いながら、3人の選んだ服を購入した。




 その後、ルビアが俺の家に住むための道具を何個か無理やり買わせて、屋敷に戻る。


 少し休憩を取り、俺はリリィとミュアを呼ぶ。


「な、なんでしょうか?レオ様?」


「ウ、ウチら悪いことしましたか?」


 不安そうな目で聞いてくる。


「大丈夫。2人とも俺に迷惑なんかかけてないから」


 その言葉に2人はホッとした表情となる。


「俺は2人に話したいことがある」


 俺は2人の顔を見て…


「2人は奴隷となる運命から解放された。だから、2人には自由に生きてほしい。自分の家族の下に帰ってもよし、旅に出てもよし。旅費等は俺があげるか……ら……」


 俺は2人に自由に生きてほしいことを伝えるが…


「レ、レオ様にとって私はいらない子……でしょうか?」


「ウ、ウチ、レオ様の役に立つよう頑張ります!だから捨てないでください!」


 リリィは暗い表情で、ミュアは必死に伝えてくる。


「いや、捨てたわけでは……」


「は、恥ずかしいけど、エ、エッチなことでも頑張ります!なので私たちを見捨てないでください!」


「ウ、ウチもエッチなこと頑張ります!ルビアさんより胸はないですが、せ、精一杯ご奉仕します!」


 2人は涙目で訴えてくる。


 俺は2人の目を見て、2人を抱き寄せる。


「「!?」」


「ごめんな。俺の言葉が悪かったよ。俺は2人にここから出て行くという選択肢があることを伝えたかっただけだ。俺が2人を追い出したいとか、そんなこと思ってないから」


「ホ、ホントですか?」


「あぁ」


「じゃあ、私たちはレオ様のそばにいてもよろしいのでしょうか?」


「…………ま、まぁ、2人がこれからどうやって生きていくか、決めるまでだが……」


 俺の言葉に2人とも笑顔となり…


「「ありがとうございます!」」


 2人はお礼を言う。


 そして…


「これからよろしくお願いします!ご主人様!」


「よろしくお願いします!ご主人!」


(あ、あれ?なんかずっとこの家に居そうな感じがするんだが……ま、気のせいか)


 俺は2人の笑顔を見ながら、深く考えることをやめた。

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