第4話教祖様にお前の汚れた体を浄化していただく!ありがたく思え!

 ミラレスと翔の会話は続く。


「それで悪魔さん」


『おおおお…。なんだ?』


「その代理戦争ってようは他の悪魔さんが見つけた僕みたいな存在と僕が戦うってことなの?」


『お前よお。他の悪魔さんってなんだ。他の悪魔に『さん付け』は必要ねえ』


「あ、ごめんなさい…」


『まあいい。それでお前の質問だが。簡潔で的を得ている。お前の言う通りだ。悪魔は今の時代のこの地球に集中している。今の地球は『臭いのトレンド』って言われてるからな』


「へえ。まあ欲のない人間を見つける方が難しいと思うかなあ。でもなんで僕なんかを…」


『その質問の前に先の質問だ。悪魔同士の対決、ようは代理戦争だな。それが話の肝だ。まず他の悪魔を俺らは見つけることが困難だ』


「え?そうなの?」


『そうだ。潜った悪魔を見つけるのは不可能だ。でも人間に出来ることは大体分かる。進化したとしても所詮人間は人間だ。その人間の限界を超えた人間。それを見つければ大体その人間には悪魔がついてるってことだ』


「それはつまり…、僕にも人間の限界を超えた能力が身に付くってこと?」


『正確にはお前についた俺の能力が使えるってことだ。他の人間も同じく』


「なるほどね。悪魔さんの能力ってなに?」


『俺の特殊能力は『操作』。人間を操作することが出来る。ただし一度に操作できる人間も一人までだ』


「人間を操作できるの?」


『ああ。ただの操作じゃねえぜ。その対象となった人間の思考から操作できる。本人の意思など関係ねえ。俺の能力で操作されてる間は意思も持てない。そしてその操作から解放されてもその時の記憶がなくなる』


「ってことは…」


『お前今淫らなことを考えただろう。人間でいうところの『エロいこと』だろ?』


 僕は片思いの女性を好きにできると頭の中でチラッと考えた。悪魔さんは心の中を読めるのか?すごく恥ずかしい気分。


『なんだ。当たりみたいだな。ちなみに俺は人間の心の中を読むことは出来ん。お前ら下等生物の心になど興味はないからな。興味があるのは『欲の臭い』だ』


「でも…。他の悪魔がついた人間と代理戦争でしょ。敗けたら僕は死ぬの?」


『死ぬなあ』


「死ぬ…」


『でもまあそれはない。お前は俺が選んだ人間だぜ。そもそもお前を選んだ俺のことを考えてもみろ。俺の代理であるお前が死ぬことは俺の死を意味している。そうならないよう俺の能力を使わせてやると言っているだろう』


「でも他の悪魔も特殊能力を持ってるんでしょ?」


『それな。悪魔には共通して使える『共通能力』とその悪魔にしか使えない『特殊能力』の二つの能力がある。俺の『操作』を他の悪魔は使えねえ。それに『操作』は使い方次第で無敵の能力だ。あとはお前次第ってことだ。心配するな。お前の才能を俺は買ってるんだぜ。その『極上の臭い』の持ち主であるお前の『欲』は相当だ』


「『操作』か…」


 確かに一人の人間を好きに思考ごと操作できるのなら無敵かもしれない。核兵器のボタンを押すことも可能だ。総理大臣を操って日本のルールを変えることも出来るかも。


『それにな。お前に勝って欲しい大きな理由がある』


「理由?それは他の悪魔がついた人間との代理戦争に勝つこと?」


『そうだ。悪魔のついた豚は美味いんだよ!』


「豚?」


『そうだ!俺らがつくのは欲まみれの豚だ!欲深い欲を食いまくった豚は最高だ!』


「え?僕も豚なの?」


『悪魔的にはそうだ。欲のねえ人間は豚以下だぜ。美味くもなんともねえ』


「そういうもんなんだ」


『そういうもんだ。俺の特殊能力を上手く使えばお前の願いは何でも叶うだろ』


「確かに…」


『豚を探せえ!豚だ!豚を探して殺せ!』


 悪魔は潜れば分からない。『欲豚』を探せば見つけられる。そしてその豚を殺すんだ。でも出来るのか?僕に。確かに僕はこの世の悪をすべてなくしたいと思っているけど…。



 ここにも別の悪魔が。


「教祖様は絶対!」


「教祖様は絶対!」


「教祖様のためにお布施を!」


「教祖様のためにお布施を!」


「教祖様にお前の汚れた体を浄化していただく!」


「教祖様に私の汚れた体を浄化していただく!」


 社会的に問題となっている宗教団体。そこの教団の教祖様と崇められる男に一体の悪魔がついた。


※存在を消した悪魔を探し出すことは悪魔でも不可能

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