第154話 【温泉村へ・3】
一人で露天風呂を堪能した俺は、師匠が出てから30分程経ってから出る事にした。
既に脱衣所には師匠達は居らず、部屋に戻ったみたいだった。
「師匠。大丈夫ですか?」
俺は風呂から上がり、服に着替えて部屋に戻って来るとテーブルに顔を突っ伏してる師匠が居た。
「んっ、ああ……大丈夫だ。ちょっと、フラッとして休憩していただけだ」
「いや、顔色はそんな良く無いですよ? もしかして、俺との我慢比べ無理してましたか?」
「……まさか、あそこまでアルフが耐えられるとは思わなくてな、少し無理したみたいだ」
「やっぱりですか……水は飲みましたか? 飲んでないなら、準備しますよ」
そう師匠に言うと、師匠は「頼む」と言ったので俺はコップに水を注いで師匠に渡した。
それから俺は暫く師匠の介抱をしていると、師匠の容態も少し良くなったのでそのままベッドに寝かせて、早めに寝るように勧めた。
そして俺も特にやる事はないので、そのまま自分のベッドに横になって今日はいつもより早めに寝る事にした。
「ん~、良く寝た~」
翌日、早めに寝たおかげでいつもより早くに目が覚めた俺は、まだ寝てる師匠を起こさないように部屋の外に出た。
昨日、宿の人に景色がいい場所は何処か聞いていた俺は、朝早くに目が覚めたから折角なら見ておこうと考え、その場所に向かった。
「うわ~、凄く良い景色だな……」
10分程、宿から歩いた場所には景色を堪能できる場所があった。
俺はそこで数分、景色を堪能してから宿に戻って来て、まだ朝食まで時間があると言われたので風呂に入る事にした。
「あれ、エリックさん? こんな時間にお風呂に入りに来てたんですか?」
体をシッカリと洗って露天風呂の方へと行くと、エリックさんがそこには居た。
「おはよう。アルフ君、アルフ君も朝風呂に入りに来たの?」
「あっ、おはようございます。まだ朝食まで時間があると言われたので、折角なら入っておこうと思って入りに来たんですけど、エリックさんも同じですか?」
「うん。まあ、僕の場合は普段から朝にお風呂に入る事もあるから、折角早くに起きたならもう一度入っておこうと思ってね。何度か来たことはあるけど、次にいつ来れるかも分からないからね」
それから俺はエリックさんの近くに入り、一緒に露天風呂を堪能する事にした。
「そう言えば、アルフ君は銀級冒険者になったんだよね? 冒険者としての活動は楽しい?」
「楽しいですよ。師匠達のおかげで強くなれて、色んな魔物と戦えて冒険者が飽きたなとは一度も思った事は無いです」
「そうなんだね。アルフ君の強さは前までそこまで詳しく知らなかったけど、学園の大会でアルフ君がどれだけ強いのか目の当たりにして本当に驚いたよ。あんなに凄い魔法が使える上に、勉学もトップクラスって本当にアルフ君は沢山努力して来たんだね」
そうエリックさんは言うと、それから俺とエリックさんは30分程、ゆったりと露天風呂を堪能した。
その後、風呂から上がった俺とエリックさんは一緒に朝食を食べに向かい、エルドさん達と合流して美味しい朝食を食べた。
「エルドさん、この村をいつ頃出発する予定ですか?」
「そうだな、帰りもアルフの従魔の力を借りるとして、昼少し過ぎ位にはでようと思っておるぞ。それまで自由に過ごしてもらって構わんぞ」
そうエルドさんが言うと、それぞれ一緒に温泉村に来たメンバーは各自散らばっていった。
そして俺も一人で見て回るか悩んでいると、そんな俺にアリスが「アルフ君、一緒に見て回ろ」と声を掛けてくれた。
「あれ、家族と一緒に回らなくてもいいの?」
「うん。家族とは何度も来てるけど、アルフ君とは初めてだからね。あっ、でもアルフ君が一人で見て回りたいなら大丈夫だよ……」
俺に断られた時の事を想像したのか、最後の方は聞き取り辛い小さな声でアリスはそう言った。
「それじゃ、村の案内を頼める? おすすめのお土産屋さんとかあれば、レオルド達にお土産を買おうと思ってるから助かる」
「お土産屋さんだね! うん。良い所知ってるよ!」
アリスは嬉しそうにそう言い、それから俺はアリスに連れられて土産屋さんへと向かった。
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