第148話 【強制休暇・1】
銀級冒険者に昇格してからも、俺はウィストの街で冒険者活動を続けていた。
毎日、数件の依頼を受けてはフェルガに移動は任せ、色んな依頼をこなしていった。
そんな日々が二週間程続き、アリス達との訓練の為に王都に戻って来ると、俺はとある事を師匠達から言われた。
「えっ、休暇ですか?」
「そうだ。アルフはこの数週間、冒険者活動に専念していてちゃんとした休みをとってないだろ?」
「ウィストの街では冒険者活動、王都に戻ってきたらアリスちゃん達と訓練をしてるでしょ? それだと、ちゃんと体も休まらないし、いつか体を壊すかもしれないって話になったのよ」
「アルフ君は十分頑張ってるし、一度ちゃんとお休みするのも大事だと思うよ」
そう師匠達から言われた俺は、三日間の強制休暇を取る事になった。
「……師匠達には休むように言われたけど、スキルの訓練くらいはいいかな? 折角、ラルフさんにスキルを教えて貰ったのにまだスキルレベルが低いままだし」
【付与魔法】に使えるスキルは無いか、少し前にラルフさんに相談した際、ラルフさんからとあるスキルについて教えて貰った。
そのスキルの名前は【硬化】というスキルで、主な使用方法としては自身の防御力を上げるスキルと教えられた。
このスキルを【付与魔法】を使うと、魔力で強化するよりも更に強度を増した武具へと変わる。
勿論、自分自身に【身体強化】と重ね掛けする事で防御力を上げる事も可能な為、かなり有能なスキルだ。
「それで、休みなのに訓練場に出て来たと」
「……だって、暇なんですもん! ずっと訓練してた身からすると、いきなり休めと言われても休み方を知らないんですよ!」
バレないだろうと思い訓練場に行くと、何故か師匠達が訓練場が居て俺は注意を受けた。
そして俺は自身が正当であると主張すると、師匠は溜息を吐き「アルフのこういう所は変なんだよな……」とボソッと悪口を言われた。
「多分、このまま一人にしていたとしても部屋で勝手にし出すと思うな……」
「そうだね。ここまで酷いとは思わなかった」
「アルフ君、頑張る事は大事だけど休む事も大事なんだよ?」
師匠達はこのまま俺を一人にしたとしても、勝手に訓練するだろうと考えて、休暇にやり方を教えると師匠に王都の商業区へと連れ出された。
ウィストの街の商業区は何度も行ってるが、王都の商業区は数える程しか行った事が無い。
「ふと、思ったんだがアルフは依頼で貰う報酬金はどうしてるんだ?」
「給料と一緒で殆ど貯金してますよ? 特に欲しい物はありませんからね。食材位にしか使い道はありませんから」
「物欲なさすぎるだろ……」
「必要な物は揃ってますからね。今の生活に満足してるから、買い足す必要が無いんですよ」
そうハッキリと伝えると、師匠は「何か好きな物とかはないのか?」と聞いて来た。
「……強いて言えば、本とかですかね? 新しい知識が増える事は好きです」
「確かにアルフは勉強は好きそうだしな……分かった。取り合えず、本を見に行ってみるか」
師匠はそう言うと、ルクリア商会に所属してる雑貨品店へと入り、中の店員さんに本を見せて欲しいと伝えた。
そうしてお店の二階に連れてきてもらうと、そこには沢山の本が並んでいた。
「あの、ここにはどういった本があるんですか?」
「色々と取り寄せていますよ。最近出た本ですと、ただ本は貴重な物ですので一つ一つが高い物となっております」
店員さんから教えられた俺は、見ても良いか尋ねると「どうぞ、ご自由に見てください」と言われたので、どんな本があるのか物色を始めた。
「本当に色んな本があるな……」
店員さんが言っていた通り、本棚には沢山の本が並んでいた。
俺は色んな本の表紙を一つ一つ見ながら、本を見て回ってるとある本に視線が止まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます