第144話 【目標に向かって・1】


 学園が休みの二日間、アリス達と過ごした俺は皆と過ごして元気を貰った。

 そうして俺は師匠達と話し合って、今週はレベル上げでも訓練でも無く、冒険者活動を優先する事に決めた。


「アルフは偶に抜けてる所があるが、まさか友人との約束も忘れていたとはな」


「やる事が重なってしまって、つい忘れてました……」


 師匠の言葉に対し、俺は肩を落としながらそう口にした。

 冒険者活動を優先するという事で、王都では冒険者活動する予定は一切ないので隣街のウィストの街へとやって来た。

 今回も泊まる場所は師匠の家で、先にリアナさんに挨拶しに向かった。


「あら、フローラちゃんにアルフィちゃんも一緒なのね」


「リアナちゃん、よろしくね」


「数日間、お世話になるわ」


 リアナさん、フローラさん、アルフィさんは友人同士らしく久しぶりに揃い楽しそうに雑談を始めた。

 そんな女性陣を置いて、俺と師匠は家を出て冒険者ギルドへと向かった。


「ほ~、それでお前達がこの街にやって来たんだな」


「はい。所で何故、受付にギルドマスターが立っているんですか?」


「気分転換だよ。偶にこうして出てこないと、馬鹿共が馬鹿な事をしでかすからな」


 そうライザットさんが言うと、近くで話を聞いていた冒険者が「あっ、俺達の悪口を言いやがったぞ!」と反応した。


「それがギルドマスターが冒険者に掛ける言葉かよ!」


「この強面!」


「犯罪者顔!」


「お~、そこの馬鹿二人元気がいいな? 後で相手してやるから、待ってろよ」


 冒険者達の悪口に対し、ニヤッと笑みを浮かべてライザットさんが言うと、悪口を言った冒険者達は「冗談じゃないですか~」と言った。

 だがそんなやり取りを見ていた冒険者達は盛大に笑い、雰囲気は凄く良かった。


「王都の冒険者ギルドには一度しか行った事が無いですが、やっぱりこっちのギルドは雰囲気がいいですね」


「王都と比べたらな、俺はギスギスするのが嫌なんだよ。王都でもそういうのが嫌いでこっちに来た奴等が何人もいるんだ」


 ライザットさんは冒険者達を笑みを浮かべて見ながらそう言うと、見られていた冒険者達は「うわっ、ニヤケ面で見て来た!」と叫び。

 その声に対してライザットさんは「マジでぶん殴るぞ」と、プルプルと震えながらそう言った。

 その後、今日は時間的にも厳しいので一つだけ依頼を受けて、依頼の場所へと向かった。


「移動はフェルガが居て本当に助かるな~」


「我を移動用に使うのは別に良いが、クロは何故移動用では使わないんだ?」


「まあ、飛ぶほどの距離じゃないから?」


 そう言った後、目的の場所に到着したので俺は討伐対象の魔物を討伐して、冒険者ギルドへと戻って来た。


「早い帰りだな」


「移動はフェルガに任せてるので、それのおかげです」


「普通の冒険者は馬なのに対して、アルフはフェンリルを移動に使うって他の冒険者が聞いたら驚いて倒れそうだな」


 ライザットさんは笑いながらそう言うと、討伐部位を確認して依頼の達成報酬を出してくれた。

 その後、討伐対象以外にも近くに居た魔物を狩っていたのでそれらも含めて、ギルドに売却して俺は師匠の家へと戻って来た。

 師匠の家に戻って来ると、既に夕食の準備が出来ていて夕食を食べる事にした。

 食後、一番最初に風呂に入らさせてもらい、疲れと汚れを落とした俺はいつも借りてる客室に入った。


「明日から本格的に冒険者活動をするから、今日は早めに寝ておいた方がいいな」


 今日は街へ移動もあったから、一つしか受けなかったが明日からは朝から活動を予定している。

 なので俺は夜更かしはせず、ベッドに横になり直ぐに眠りについた。

 そうして翌日、いつもよりも早めに起きた俺は朝食を師匠達の分も準備して、師匠達が起きて来るよりも早くにギルドへと向かった。


「アルフ君、こんなに早くから活動をするの?」


 ギルドに到着してアンナさんの受付に向かうと、心配した表情でそう言われた。


「はい。友達にランクが負けてるので、その分頑張らないといけないんです!」


「そうなのね。でも、無理はしちゃ駄目よ?」


 アンナさんに忠告をされた後、アンナさんに俺に合った依頼を見つけて貰い、その依頼を受けて街の外へと向かった。

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