第141話 【迷宮でレベル上げ・2】


 翌日、予定通り朝早くからレベル上げを始めた俺は、お昼頃にはこの迷宮に来てから15レベルも上がっていた。

 人気のない迷宮で、人も居ないからか魔物の湧きも良くてかなりいい感じにレベル上げが出来ていた。


「この感じで行くと、この迷宮に居る間だけで150になりそうだな」


「う~ん……どうですかね? 魔物を狩るのに時間は掛りませんけど、移動に時間が掛ってますから厳しいと俺は思いますよ」


「あ~、まあ確かにそこは問題だな……」


「アルフ君は従魔の力は使わないの? フェンリルとワイバーンを使役してるなら、その子達の力を使ったら楽に移動できるんじゃないの?」


 フローラさんからそう言われて、確かに移動にフェルガを使うのはありだと思った。

 という訳で俺は、休憩を終えてレベル上げを再開した際にフェルガ達を呼び出して、レベル上げの手伝いをしてもらう事にした。


「移動の為だけに我等を使うのか?」


「うん。もしかして、フェルガ達も闘いたいの?」


「折角、呼び出されたのに足代わりだけは我は嫌だな」


 フェルガがそう言うと、クロも頷きどうせなら戦いたいと提案された。


「師匠。どうしたらいいですか?」


「俺の意見としては別にいいとは思うぞ。既にアルフは強いから、今から更に強くなったところで自分で訓練を止めたりしないってのは分かってるからな、それにフェルガ達も運動させて方が俺は思う」


 師匠の意見を聞いた俺は、フェルガとクロに順番で狩りに行って来てと指示を出し、最初に狩りに行くのはフェルガとなった。

 人を見かけないが、念の為にも魔物だと誤認されない為に師匠がフェルガの付き添いをしてくれる事になり二手に分かれる事になった。


「ワイバーンを見たのは久しぶりだけど、アルフ君の従魔のワイバーンってかなり強いそうね」


「我はこれでも魔の森の王をしておったからな、それなりの強さはしておるぞ」


「魔の森、それって〝深緑の森〟の事よね。そんな所のワイバーンと、アルフ君はどうやって知り合ったの?」


「あ~、詳しい事は言えませんけど、師匠に連れられてそこに行った時にクロ達と出会って色々とあって従魔にしたんです」


 師匠の訓練場があるとは言えない為、俺はフローラさんの質問に対してそうはぐらかすようにして答えた。

 その後、移動はクロに任せて魔物を狩り続けた俺は二日間の成果として、合計20レベルも上げる事が出来た。

 こんなにレベルが上がったのはフェルガとクロが魔物を倒して、その経験値が俺に入って来たおかげだ。


「……俺もある程度は予想していたが、これ程とはな」


「アルフ君が本気を出せば、一ヵ月でアレン君のレベルを抜かせるんじゃない?」


「ありえるな……」


「アルフ君が凄いってフローラちゃんから、迷宮に来る前に聞いてたけど私の想像の何倍も凄いわ……」


 師匠達はそう俺の成果を確認して、驚いた表情でそう話し合っていた。

 そして当人である俺自身も、たった二日間でこれだけの成果が出た事に驚いていた。


「フェルガ、一体どれだけ魔物を倒したんだ?」


「そこまで沢山は倒してないぞ? なあ、アレン?」


「いや、かなり倒してたぞ。3層分の魔物を全部、こいつ一人で倒していたからな」


 師匠のその言葉に俺は驚き、今日一日を通して違和感を感じていたが、戦闘中にレベルが上がっていたんだなと気付いた。

 明日はクロの番だが、フェルガみたいに暴れ過ぎないようにと注意をして、夕食と風呂を済ませて休む事にした。

 そして翌日、クロと師匠を見送り、今日はフェルガと共にレベル上げを行う事にした。


「アルフ君、私が教えて【付与魔法】だけど、どうかしら?」


「そうですね。まだスキルレベルは低いので、まだまだ完全には理解出来てませんけど、俺の戦闘スタイルにかなりあったスキルだと思います」


 アルフィさんから教わった【付与魔法】は、自分の持ってる魔法を対象に付与が出来る能力だ。

 俺の場合、【経験値固定】のおかげで沢山のスキルが有る為、それらのスキルを駆使して戦闘に活かしている。

 使い方としては、先に【付与魔法】で自分に対して【身体強化】を付与しておく事で、スキルを使用せずとも戦闘を始める事が出来る。

 普通に使うよりも魔力を消費はしてしまうが、その辺の石ころに魔法を付与して魔物に気付かれないように攻撃をする事も出来た。

 今後、より色々と検証をしていけば、もっといい使い方も出来そうな能力だと俺はそう考えている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る