第137話 【加護の秘密・2】
そうして王都を出発してから数時間後、ようやく目的の迷宮が近くにある街に到着した。
到着した街の名は、イスリアという名の街で見た感じ、師匠達が言っていたように特徴が無い街だった。
そんな街の中に入ると、住宅地方面へと向かって馬車を進ませた。
そして特に他の家とは変わらない家のまで停まると、その家の呼び鈴を鳴らした。
すると、玄関の扉が開き銀色の防具を来た人物が現れた。
「アルフィ、久しぶりだな」
そう師匠が建物から出て来た相手に声を掛けると、銀色の防具を着た人物は師匠の姿に驚いていた。
「な、なんでこの街にアレン君とフローラちゃんが来てるの?」
「弟子の育成の為に迷宮に行く途中で、アルフィがこの街で暮らしてるのを思い出して寄ったんだ。中に入って少し話せるか?」
師匠のその言葉を聞いたアルフィと呼ばれた人物は、家の中に中に入れてくれた。
家の中は外の雰囲気と変わりないが、何となく殺風景な家だ。
「前に来た時から全く変わってないわね。アルフィ、貴方本当にここで何年も住んでるの?」
「住んでるよ? でも欲しい物って特にないから、寝る所と食事する所以外はいらないかなって」
「生活感をもう少し出した方が良いって言ってるのよ。家具、殆どないじゃない」
「ここはリビングだから、何もないだけで寝室は少しは家具はあるよ?」
フローラさんからの言葉に対し、アルフィさんはそう首を傾げながら言葉を返した。
「ねえ、それより気になってたんだけどアレン君達と一緒に居る彼って手紙に書かれてたエルド様が拾って来た子?」
「そうだよ。アルフ、こいつはさっき言ってた俺達の同僚のアルフィだ。見ての通り、自分の姿を見せたがらない恥ずかしがり屋だ」
「初めまして、アルフレッドです。師匠や親しい人たちから、アルフと呼ばれてます。よろしくお願いします」
そう言うと、アルフィさんは「よ、よろしくね」と恥ずかしそうな声音で握手を交わした。
握手を交わした瞬間、アルフィさんは「えっ!?」と驚いた声を出した。
「……ねえ、アレン君。アルフ君って、一体いくつの加護を持ってるの?」
「それは俺達も分からない。ただ分かってるのは、複数の加護は持ってる事だが……」
「そう言えば、アルフィって聖職者に誘われるくらいに信仰心が強くなかったかしら? もしかして、アルフ君の加護で何か気づいた事でもあったの?」
フローラさんがそう言うと、アルフィさんは難しい表情をして「ただ加護の強さに驚いただけなの」と申し訳なさそうに行った。
「ねえ、アルフ君って神殿に行った事はあるの?」
「いえ、行こうかなとは考えてましたけど、行く機会が無くてまだ行った事は無いですね」
「確かに前から行く話は出ていたが、他の事を先にしていて後回しにしていたな……」
そう俺と師匠が言うと、アルフィさんは「ちょっと付いて来て」と言って俺達は別の部屋に案内してくれた。
そうして連れてこられた場所は、大きな像があるだけの部屋にやって来た。
「この方は大地の神様で、私が信仰してる神様なんだけどこの方の加護もアルフ君からは伝わってくるから、もしかしたら祈ってみたり何か分かるかも」
そうアルフィさんは言うと、お祈りの仕方を教えてくれた。
そうして俺は教えて貰った通りに像の前に立ち、目を閉じ胸の前で手を合わせてお祈りを始めた。
すると、目を閉じているのに光を感じ、その光は徐々に強くなっていった。
俺はその光の強さに我慢出来ずに目を開けると、特に部屋は変わった様子は無く。
師匠達はお祈りをしてたのに突然、俺が辺りを見渡し始めた事に困惑していた。
「アルフ、突然周りを見渡したりしてどうしたんだ?」
「あっ、その急に光が強く感じて何かあったのかなと、俺が祈ってる間に部屋に何か変化とかありましたか?」
「いや、何もなかったぞ?」
「アルフ君、強い光を感じたのならもしかしてステータスに変化が起きてるかも知れないよ。確認してみて」
アルフィさんの言葉に従い、俺は自分のステータスを確認する事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます