第136話 【加護の秘密・1】
学園を休むと決めて二日が経ち、迷宮に向かう準備が出来た俺はアリス達に明日から迷宮に行ってくると報告をした。
「何日位、迷宮に行くの?」
「う~ん……予定では取り合えず、五日間の予定だから次に戻って来るのは来週の皆が学園が休みの日だとは思う。もしかしたら、ズレるかもしれないけど」
「学園にも行かなくていいから、一ヵ月とか挑むと思ってたけどそうじゃなんいだね」
「流石にね。師匠も子供が生まれたばかりだしね」
レインの言葉にそう返すと、その隣で話しを聞いていたレオルドが「またアルフと差が開いちゃうね」と言った。
「ちゃんとそこも考えてるよ。まだ師匠達と話し合いの段階だけど、皆と予定が合えば俺が学園を休んでる間に、皆と一緒にレベル上げに行こうかなと考えるんだよ」
「アルフと一緒なら、数さえ倒せばレベルは上がるから僕達からしたら有難いけど、態々僕達の為に時間を作るの?」
「俺だけ強くなってもね。皆と一緒に強くなった方が楽しいだろうからね」
そう俺が言うと、アリス達はそのレベル上げの日を楽しみにしてると言って、その日は楽しく訓練を行った。
「ふむ、長くても一週間で戻って来るんだな」
「はい。長期間潜っても良いんですが、子供の事をアルフが気にして話し合って一週間と決めました」
「まあ、妥当な日数だと儂も思うぞ。いくら使用人が居るとはいえ、子供を放置するのは親として良くないからな」
エルドさんはそう言うと、一週間の迷宮探索について許可を出して明日出発すると伝えて部屋を出た。
その後、師匠とは別れ、風呂と飯は既に済ませているので自室へと戻った。
そしてクラリスとの勉強時間を終え、ベッドに横になった俺は直ぐに眠りについた。
「こうしてフローラさんと外に行くのって初めてだから、なんだかちょっと違和感を感じますね」
「まあ、今日まで謹慎してたからそう思うのも仕方ないわ。ようやく、自由に行動できるわ」
「というと、この迷宮探索が終わったら何処かまた旅に出るんですか?」
そう聞くと、フローラさんは少し考えた仕草をして「そう最初は考えていたわ」と言った。
「アルフ君の訓練を始める前は、謹慎が解けたらまた旅に出ようかなと考えてたんだけど、弟子の育成がこんなに楽しいとは思わなくてね。アルフ君が立派な剣士になるまでは、暫くは弟子育成に集中しようと思ってるわ。アレン君も、弟子育成がこんなに楽しいとは思わなかったでしょ?」
「その点に関しては俺も同意見だ。これまで弟子なんて必要ないと思ってたが、アルフを弟子として育てはじめて変わったな」
フローラさんと師匠からそう言われた俺は、嬉しく感じて「俺も二人の弟子になれて本当に良かったです」とそう返事をした。
その後、馬車に乗り商会を出発して迷宮へと向かった。
「そう言えば、迷宮の位置ってどこなんですか?」
「そうだな……アルフに分かりやすく説明をすると、ウィスト街の反対方向にあって、大体はウィストの街に行く距離と同じ所に迷宮がある。近くに街はあるが、特にこれといって特徴のない街だな」
「あれ、でもその街って確かあの子がいなかったかしら?」
師匠の言葉を一緒に聞いていたフローラさんがそう言うと、師匠は「……そう言えば、忘れていたな」と誰かの事を思い出していた。
「その街に師匠達の知り合いがいるんですか?」
「知り合いというか、同僚だな。俺達と同じ、ルクリア商会所属の冒険者で白金級冒険者だ。名前はアルフィ・ミストリアという名前の奴だ」
「アルフィ・ミストリア……あれ、その名前って確か【銀騎士】という二つ名の人と同名ですけど、もしかしてその人ですか?」
そう聞くと、師匠達は頷き「そいつで合ってる」と言った。
その後、師匠達は折角その街に寄るなら挨拶位はしておいてやるかと言って、迷宮に行く前に会いに行く事が決まった。
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