第82話 【騒動のその後・2】


 部屋を出て数分歩いて、俺がまだ来た事が無い場所へと連れてこられた。


「レオルド、ここって俺が来ても大丈夫な所なの?」


「大丈夫だよ。ちゃんと、父上の許可は取ってあるから心配しなくて大丈夫だよ」


 レオルドは俺の言葉にそう答えると、とある部屋の入口で「着いたよ」と言って立ち止まった。

 そしてレオルドはその部屋の扉をノックすると、中から女性の声で「はい」と返事を聞こえた。

 レオルドはその声が聞こえると、扉を開けて中へと入って行き、俺もレオルドについて行く様にして中へと入った。

 部屋の中には、一人の美しい女性がソファー座っていた。

 俺はその女性に見覚えがあるなと感じ、頭の中を探るとある人物へと辿り着いた。


「……もしかして、クラリス?」


「はい。アルフレッドお兄様、お久しぶりでございます。妹のクラリスです」


「その……綺麗になったね」


 最後に会った時のクラリスは、まだ幼げが残る少女だった。

 しかし、たった一年間と少しの期間でクラリスは物凄く落ち着いた雰囲気のある女性へと成長していた。

 俺と同じ赤い髪を腰辺りまで伸ばし、髪色と同じ赤い瞳は真っ直ぐと俺の事を見つめていた。


「アルフレッドお兄様こそ、たった一年でお変わりになりましたね」


「沢山、訓練をしてるからね」


 そう俺とクラリスはぎこちない会話をしていると、クラリスは「ッ!」とソファーを立ち上がり俺へと急に抱き着いて来た。


「お兄様……本当にお兄様ともう一度、お会いできて本当に嬉しいです」


 我慢していたとばかりに、クラリスは俺に抱き着いたまま涙を流しそう言った。

 そして先程までレオルドが居た所を見ると、いつの間にかレオルドは部屋から居なくなっていた。

 レオルド、このために俺を連れて来たんだな……。

 友人の気遣いに気付いた俺はレオルドに心から感謝をして、泣いてるクラリスの頭を優しく撫でた。


「そう言えば、クラリスは神からどんなスキルを貰ったんだ?」


「それなら、ステータス見せるね。兄さんになら、別に見られても大丈夫だし」


 感動の再会後、口調が昔に戻ったクラリスはそう言って俺にステータスを見せてくれた。


名 前:クラリス

年 齢:15歳

種 族:ヒューマン

身 分:平民

性 別:女


レベル:14

筋 力:174

魔 力:219

敏 捷:121

 運 :81


スキル:【属性魔法(4):—】【複合魔法:3】【魔力探知:2】

    【気配察知:2】

加 護:魔法神の加護 


火属性魔法:4

水属性魔法:2

光属性魔法:3

風属性魔法:2


「もしかして、神から貰ったスキルの数って4つ?」


「うん。【風属性魔法】以外の属性魔法はそれ以前に習得していたから、【風属性魔法】と【複合魔法】、【魔力探知】と【気配察知】のスキルを授かったよ」


「それは凄いな……」


「でも、私より兄さんの方が凄いって聞いてるよ? 兄さんのステータスも見せて」


 クラリスからそう言われた俺は、断る理由も無いのでクラリスにステータスを見せる事にした。


名 前:アルフレッド

年 齢:16

種 族:ヒューマン

身 分:平民

性 別:男


レベル:30

筋 力:684

魔 力:1008

敏 捷:415

 運 :91


スキル:【経験値固定:—】【剣術:8】  【属性魔法(5):—】

    【魔力制御:10】【従魔:10】 【調理:8】

    【指導:6】   【並列思考:7】【身体強化:5】

    【信仰心:1】  【気配察知:2】【魔力探知:2】

    【夜目:3】

加 護:Error


水属性魔法:10

土属性魔法:10

火属性魔法:8

風属性魔法:8

光属性魔法:4


「……聞いていた以上だよ」


「まあ、それは認める。この歳でスキルレベルの最高レベルに到達してるだけでもおかしいのに、それが4つもあるからね……」


「本当に兄さんの力をちゃんと見いていれば、ノルゼニア家もまだ生きながらえたのに馬鹿な事をしたよね~」


「そこに関しては、見抜かれなくて良かったと思ってるよ。事件について詳しく知って、これを知らずに生きてるよりも今の方が断然良い」


 事件について詳しく聞く前は、そこまで思っていなかったが、事件の内容を詳しく聞いた今だと、俺は追い出されて良かったと思ってる。

 そのおかげで事件が明るみになり、悪人を裁く事が出来た。


「それは私もそうだね。あの家に不信感はあったけど、まさかあんなに酷いとは思わなかった。もし知らずに生活していたら、後々その事で私達も危ない目になってそうだったもんね」


「確実にそうなっていただろうね。ただでさえ、あの家の教育の仕方として子供である俺達は単なる道具だったしね」


 そう俺が言うと、クラリスは俺の両頬を両手で抑え「暗い話はここまでにしよっ」と話を止めて来た。


「そうだな、折角の再会なのに暗い話ばかりは楽しくないもんな。暗い話じゃないとしたら、どうしても家の話が出てしまうクラリスよりも俺の話の方が良いか?」


「うん。兄さんがどんな生活を商会でしてるのか、私前から気になってたんだ!」


 クラリスがそう言ったので俺は、エルドさんとの出会いからクラリスに話し始めた。

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