第51話 【学園生活の始まり・3】
「へ~、商人科だけど魔法も教わるんだ」
「うん。商人だとしても、自衛は出来た方がいいから魔法か武術を教わる選択科目があるんだよ。勿論、私は体を動かすの苦手だからまだ少し可能性が残ってた魔法にしてるよ」
二限目が終わり、三限目は魔法について学ぶ授業〝魔法学〟の授業だと伝えられてた。
魔法学は俺が特に家で教え込まれた内容で、学園ではどんな所を教えているのか少しだけ気になっている。
「……うん。これに関しても、今の俺の方が覚えてる所は多いな」
授業が始まり、最初の10分間は俺も真面目に受けていたが、既に習っている所だった。
その為、そこからはアリスに教える方へと移り、アリスは今まで分からなかった所も含めて色々と教えて行った。
アリスは今まで分からないまま放置していた所が分かるようになり、授業を受けていても楽しそうにしていた。
そうして三限目の魔法学の授業が終わると、昼休憩があるらしく一時間の休憩時間でその間にお昼ご飯も食べるみたいだ。
「アリスは弁当と学食、どっちで食べてるの?」
「いつも弁当だよ。学食って人が多いから、その苦手で……」
「そっか、なら良かった。俺も弁当だから、一緒に食べよっか」
弁当の場合、昼飯は教室でも食べられるので俺はバッグから用意していた弁当を取り出した。
「……アルフ君の弁当って、食堂のおばちゃん達が作った物じゃないよね? もしかして、自分で作ったの?」
「気づいた? 前に師匠と野営してる時に料理の楽しさを知ってさ、色んな料理が作れるようになりたいと思って、折角弁当を持っていけるなら練習も兼ねて作ろうと思ったんだよ」
「アルフ君って、本当になんでも出来るんだね」
アリスはそう言うと、俺の弁当箱の中身を見て「凄く美味しそう」と言ってくれた。
「良かったら、食べてみる? この卵焼きは自信作なんだ」
俺はそう言って、アリスに卵焼きを一つ渡した。
アリスは受け取った卵焼きを食べると、目を開いて「美味しい」と満面の笑みで言ってくれた。
「美味しかった? 良かった~。これで失敗してたら、恥ずかしいからね」
「全然、本当に美味しかったよ。凄いな~、私も偶にお母さんと料理するけどここまで美味しいの作れたことが無いよ」
「沢山練習したからね。これでも【調理】スキル持っててレベルも4なんだよ」
入学日までの間、俺は食堂のおばちゃんに料理を教えて貰っていた。
それは今後の為でもあるが、弁当持参が出来ると知って、それなら自分で作って持って行きたいと考えたからだ。
自分で料理する楽しさは、師匠との修行で感じてずっと料理がしたいとうずうずしていた。
その為、この数日間の料理の修行はかなり楽しかった。
それから弁当を食べ終えた後、アリスから学園を案内してあげると言われて、残りの休み時間は学園の中を見て回る事にした。
「試験を受けた時に思ったけど、この学園の訓練場沢山あるよね」
「学園に通ってる人が多いから、沢山用意したらしいよ。外の訓練場とは別に、天気が悪い日でも訓練が出来る様に室内の訓練場もあるんだよ」
そうアリスは説明すると、室内訓練場に案内してくれた。
室内訓練場も外の訓練場と同じ位、沢山あって既に色んな生徒が訓練場を使っていた。
その後、昼休憩が終わるまで学園を案内してもらったが、流石に全部は見て回れなかった。
「流石に広すぎるから、今日だけじゃ見て回れなかったな」
「うん。明日も学園がある日だから、明日は今日行けなかった所を案内してあげるね」
そうアリスと約束をして、俺達は教室に戻って来た。
午後の授業は二教科あり、一つは商人科らしく〝商売術〟という内容の授業でこれに関しては俺も色々と学べるところがあった。
そしてもう一つは、商人らしくは無いが〝実技訓練〟という授業で各自選んだ分野の訓練をするという時間。
俺とアリスは同じ〝魔法訓練〟を選んでる為、一緒に魔法訓練が行われる場所に向かった。
「へ~、この授業は別クラスの人達と一緒にするんだ」
「うん、そうだよ。科目によって人数のばらつきがあるから、一緒にした方が良いらしいんだよ。ちなみに一番多いのは、やっぱり剣術科らしいよ」
そうして授業を受ける場所に移動してくると、そこには既に沢山の生徒が集まっていた。
俺とアリスは先に来ていた人達の邪魔にならない所で、先生が来るのを待つ事にした。
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