外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

第45話 【おかしな弟子・１（side：アレン）】

　俺——アレン・バルザールは、ある日弟子が出来た。

「は、初めましてアルフレッドと申します」

　初めて会った弟子のアルフレッドは、俺の目を見て少し怖がりながらもそうハッキリと自己紹介をしてきた。

　元貴族と聞いていた俺は、どんな奴かと思い試そうと。

　【威圧】を放っていたのに対し、そいつは気にせず挨拶をしてきた。

　俺はその時点でこいつは面白い奴だなと感じ、そして同時にこいつから強い力を感じ取った。

「ふむ……エルドさんが言ってた意味が何となく、分かったよ。こいつ才能の塊だな」

　【第六感】というスキルを神から授かった俺は、【鑑定】の様な力を使える。

　そのスキルで俺は、相手の能力をある程度知る事が出来るのだが……。

　こいつの才能は、俺には計り知れない程だった。

　俺はアルフと出会った初日に、その才能の凄さに惚れ込んだのは間違いないだろう。

「エルドさん、アルフを拾ってきたのは正解ですよ」

　初日の訓練を終えた後、俺はエルドさんの所に行きそう伝えた。

「お主がそこまで言うという事は、相当アルフには才能があるみたいだな」

「はい。俺の【第六感】でも、アルフの才能の底を見破れませんでした」

「ふむ……お主のそれでも見れないという事は、アルフレッドの持つ【経験値固定】は凄いスキルで間違いは無さそうだな」

　俺の弟子となったアルフレッドは神からスキルを授かる際、本来であれば最低でも３つのスキルを貰える筈が一つしか貰えなかった。

　そしてその唯一貰えたスキルは、【経験値固定】という謎のスキル授かったと聞いた。

「そもそも一日でスキルを２レベル上げるなんて、俺は自分でやれと言われても無理ですね」

「そんな事、普通は出来ないからな……」

　エルドさんは俺の報告を聞くと、アルフレッドの持つ【経験値固定】を観察しつつ、強くなれるように導くようにと言われた。

「へ～、アレンさんに弟子ですか。前まで誰かに教えるなんて面倒だ！　って言ってませんでしたか？」

　弟子を持った翌日、商会に来ると既に俺が弟子を持った噂は流れていて、よく話す商人であり友人のペリトからそんな事を言われた。

「そのつもりだったよ。ただエルドさんが連れて来た奴は、これまで俺が出会ってきた中で一番変な奴だったから弟子にする事に決めたんだよ。まあ、エルドさんから弟子に取れって言われたってのもあるけどな」

「アレンさんがそこまで言う人ですか、私も見て見たかったな～」

「んっ？　何だ。またどっか行くのか？」

「はい。商会長様から直々に頼まれた事があるので、この後直ぐに王都を旅立つんです」

　そうペリトは言うと、そろそろ行かないといけないと言って去っていき、俺も弟子が待っている訓練場へと向かった。

「……本当に凄い奴だな」

　俺が師匠として教えるようになって、まだ三日しか経ってないがアルフの事が少しだけ分かって来た。

　元貴族という事から、多少は魔法の知識を持っているだろうと思っていた俺だがアルフは俺の予想よりも魔法の知識を持っていた。

　だがそれは知識でしかなく、行動に出来るかは別だった。

　アルフは１５年間、魔法の訓練もしてきたらしいがスキルは獲得できなかったみたいだ。

「まあ、１５歳未満でスキルを獲得する奴は本当に少ないから別に問題では無いが……」

　それなのにも関わらず、今はたった少し教えただけで魔法のスキルを習得してしまい。

　更にそのスキルレベルも上がり続けている。

「アレン。アルフの様子はどうだ？」

「正直、俺の勘通り凄い奴ですよ。本来であれば数ヵ月、才能が無かったら数年かかるレベルのスキルレベルのレベル上げをアルフは、経った数日で簡単に上げてますからね。あんな凄い才能を手放したアルフの実家は正真正銘の馬鹿ですよ」

　アルフの【経験値固定】の能力がある程度分かってきた俺は、アルフを捨てた家の事をそう馬鹿にした。

「育つ環境次第では、アルフはどんな者にもなれると思いますよ」

「ふむ。というと、アルフの師にお主を用意したのは正解という事だな？」

「そうですね。魔法使いとしてアルフは、俺以上の存在になるのは確実ですね」

　俺は自分の事を魔法使いとして、トップクラスの実力者だと言う認識はしている。

　だがそんな俺の実力でもアルフには数年、いやもしかしたら数ヵ月で追い抜かれるかも知れない。

「自分よりも上になるかもしれないと言うのに、お主は嬉しそうだな？」

「当たり前じゃないですか、俺は自分よりも強い魔法使いが現れる事をずっと待っていたのはエルドさんも知っているでしょ？　そんな可能性を秘めた奴が現れたんですから、嬉しいに決まってるじゃないですか」

　俺はようやくこの数年間、待ち続けた存在が現れた嬉しさを伝えた。

　それから俺はエルドさんにアルフを外に連れ出す許可を貰い、俺はアルフを自分が訓練場として使ってる場所に連れて行く事にした。