第46話 【おかしな弟子・2(side:アレン)】


 俺の秘密の修行場所に連れて来たアルフは、商会の訓練場で訓練していた時よりも更に集中して訓練を出来ていた。

 更に俺が居ない間に自分一人で【土属性魔法】のスキルを習得してしまい、俺は益々アルフの才能に惚れた。


「お主がそこまで楽し気に言うとは、お主の弟子はそこまで強いのか?」


 そう言ったのは、秘密の訓練場がある森の王であり俺の昔からの訓練相手のフェンリルだ。


「今はまだそこまで強くはない。だけど、潜在能力が高く。いずれ俺を超える存在になる事は、確実だな」


「ほ~、お主以上にか? それは興味が湧くな……」


 フェンリルの奴は俺の言葉を聞くと、いつもはぐーたらしてる癖に起き上がり俺に付いて来て。

 訓練場に居るアルフと会い、アルフの凄さを近くで見て驚いていた。

 その後、フェンリルはアルフから〝フェルガ〟という名を貰い、アルフの修行を一緒に見守る事になった。


「フェルガ、お前から見てアルフはどう思う?」


 訓練が終わり、アルフが飯を作ってる間、俺は少し離れた所にフェルガを呼び出してそんな事を聞いた。


「我から見たアルフか……そうだな、努力する者というのは分かる。お主も努力をする者だが、アルフはお主以上に今の自分を変える為に頑張っていると我は感じたな」


「まあ、そこはな俺もアルフに会ったからあいつ程、頑張り屋な奴は見た事が無いな。【経験値固定】って凄いスキルを持ってる癖に、それに驕らず毎日努力しているのは素直に凄いと感じるよ」


「多分、ああいう所が神々に気に入られてるのではないか? 生まれた時からああいう性格なのであれば、一部の神が好きそうな性格をしておるからな」


 フェルガはそう言うと、俺に向かって「アルフの師匠という事で、お主も神に見られているかも知れんの~」と揶揄うように言ってきた。

 こいつは俺が神の加護を持ってない事を知っているから、それを馬鹿にするためにそう言ったのだろうと察した。

 だが、俺はそんなフェルガに加護の部分を見せつけた。


「ふっ、俺がいつまでも加護無しだと思うなよ?」


「なっ、あのアレンが加護を持って居るだと!? どうやって手に入れたんだ!?」


 フェルガは俺が加護を持っている事に驚くと、何処でどうやって手に入れたのか聞いて来た。


「……実を言うと、フェルガの予想通りこの加護はアルフを弟子にして教えるようになってから手に入れた。アルフみたいに〝Error〟表記になると思ったが、俺の加護にはしっかりと名前が書かれてるみたいだ」


 

「それにしても、お主に合う加護だな……」


 俺が授かった加護は〝魔導の神〟の加護で、魔法に関しての威力upなどの恩恵を授かる。

 停滞していた実力が既に上がり始めた事に、俺は嬉しさと共にアルフに対しての感謝した。

 その後、訓練は順調に行われていき、俺の予想を遥かに超える速度でアルフは成長した。


「まさか、この目でフェンリルを見る日が来るとはな……以前からお主が偶に消える事があったが、あのフェンリルとは居なくなった先で出会っていたのか?」


 修行を終え、王都に戻ってきた俺はエルドさんに報告すると、フェルガの事を聞かれた。


「会いに行っていたわけじゃないですよ。あいつとは昔から実力が均衡していたので、良き訓練相手になってもらっていたんですよ。それで今回、アルフに紹介したら神の仕業でか従魔にしてしまったんですよ」


「ふむ……まあ、今はフェンリルの事は置いて、冒険者ギルドについてだな。会議でも話した通り、王都の冒険者ギルドとは今後関係を断ち切るつもりでいる。お主もその考えで良いな?」


「はい。俺は元々、そこまで王都の冒険者ギルドに世話になっていませんからね。昔から、ウィストの街で依頼を受けたりしていたので」


 昔、王都の冒険者ギルドで問題が起きた際、ギルドが何もしなかったのを見た俺は「このギルドは終わってるな」と感じ。

 それ以来、よっぽどの事が無い限りはウィストの街で依頼を受けたりしている。

 俺の言葉を聞いたエルドさんは頷くと、「会議の前に冒険者ギルドについての情報収集を頼めるか?」と聞かれたので俺は頷き。

 エルドさんから頼まれたその依頼の為、既に夜遅い時間帯だが商会を出て情報収集へと向かった。

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